多摩川に 晒す手作り さらさらに 何ぞこの児の ここだ愛(かな)しき (万葉集)
(現代語訳)多摩川でさらさらと洗う手織りの布のように、どうしてこの子がこんなにもかわいいのだろう
「月と森の記憶」公演が行われる調布の地名の由来は、昔の税である租庸調のうち、布を納めていた場所だったからだそうです。また、万葉集の歌からも、税として納める布を多摩川で洗っていたことを窺い知ることができます。そして「手作り」は、「たづくり」もしくは「てづくり」と読み、「調布市文化会館たづくり」の名前の由来ともなっています。
「月と森の記憶」は、その調布市文化会館たづくりで開催される公演であることから、今回、たくさんの布を舞台美術に使用いたします。さらに、調布で作られた布のうち、廃材として捨てられるはずだったものを使用いたします。先日、寒風の吹きすさぶ中、布を染色し乾燥させました。
他にも、ワークショップを開催し、調布の森に落ちていた「葉っぱ」、調布から観る「お月さま」を参加者みんなで描き、公演の美術のひとつにします。
まさしく、「手作り」でつくられる「月と森の記憶」……。
皆さまとともにつくりあげる公演です。
どうぞ、よろしくお願いいたします。