小原玲作品展事務局
昨年11月に60歳で亡くなった写真家・小原玲。わたしたちは小原くんの前橋高校時代の同級生有志で、3月に前橋で作品展を企画しています。写真家としての原点だった前橋で展示会を開くことは、彼にとって最後の夢でした。その願いをわたしたちの手で実現させるため、このたびクラウドファンディングに挑戦することにしました。より多くの方に小原くんの足跡、切り取ってきたその思いの数々を感じてほしい。ご支援をよろしくお願いいたします。
小原くんを社会に広く知らしめたのは、報道写真家としての数々のスクープでしょう。
田中角栄元首相の病室、ロス疑惑の容疑者逮捕の瞬間、御巣鷹山で墜落した日航機の生存者救出…。全盛期を誇った写真週刊誌「フライデー」のエースでした。
フリーに転じると、「戦場のカメラマン」となり、湾岸戦争やソマリア内戦を取材しました。
民主化を訴える学生を人民解放軍が鎮圧した天安門事件。戦車の前で手をつなぐ学生たちの写真は米国「LIFE」の「ザ・ベスト・オブ・ライフ」に選ばれました。
皮肉にもこれが報道写真家を辞めるきっかけになりました。「1カ月間、学生たちと夜通し語り合った。彼らは非暴力を貫いた。あの写真は興奮した仲間が暴走しないように手を繋いだ姿だった」
しかし、紙面では学生を襲う戦車という構図にされてしまいます。編集者の思惑で意図が変えられたことに怒りと悲しみを覚えました。
写真誌の変化も影響しました。社会派の写真は使われず、芸能人のスキャンダル写真が好まれていました。芸能人のマンション近くで何日も張り込みをし、「何でこんなことをしているのだろう」と悩みました。
何より辛かったのはあまりにも多くの死を見てきたこと。「ソマリアでは餓死寸前の子供を探していた」。悲しみの写真ばかり撮る自分が嫌いになっていきました。
「カメラを捨てる」。
そこまで思い込んでいました。
1990年、カナダ。
レンズを向けた先に、心揺さぶられる出会いがありました。
初めて見たアザラシの赤ちゃんでした。
「ああ、なんてかわいいのだろう」。
「『人間と自然との共生』をテーマに撮影しようかなんて考えていたけど、一目見てそんなのが吹っ飛んだ」
小原くんは夢中になってシャッターを切りました。
高校時代、同級生を写して喜ばれ、自分もうれしかったこと。
なぜ写真を撮るようになったのか。
つぶらな瞳に、写真家としての原点をみました。
動物写真家として、流氷の上でアザラシの赤ちゃんを追い続けました。
異変に気付いたのは98年ころ。流氷が異様に少なかった。地球温暖化の影響でした。泳ぎを覚える前に「ゆりかご」である流氷が溶け出し、たくさんの赤ちゃんが溺れ死ぬようになりました。「人間世界のごたごたを撮りたくなくて動物写真家になったのに、温暖化を警鐘する伝道師の役目が回ってきてしまった」。写真家を続けさせてくれた“恩人”の危機に、立ち上がらないわけにはいきません。
小原くんの写真集は話題となって、世間はアザラシブームに。動物写真家として著名になると全国各地で作品展を開き講演しました。「講演では『環境を大事にしよう』とか『自然を守ろう』なんて言葉では言わない」。写真が語る力を信じていました。
「心を撃つ写真は悲劇の中に希望を見いだせる写真。かわいい写真を見て感動する気持ちは100の理屈より強い」。だから、みな「かわいい」写真にします。
国内ではホタルやシマエナガ、モモンガにもシャッターを向けました。「里山とか、身近な環境も危機にある。写真に感動してもらい、どうやって次の世代にこの子たちを残せるか考えてほしい」から。
高校時代を過ごした前橋は、「写真家・小原玲」が生まれた場所でした。
亡くなった父親のペンタックスで同級生をひたすら撮りまくる日々。
隠れて早弁したり、居眠りしたりする者。先生のおかしな表情も激写しました。
そんな青春時代の一枚が小原くんの人生を変えました。
「休み時間」のタイトルで、出版社のコンテストに応募した作品。
昼休みに黒板に向かって化学の先生と議論する「優秀な生徒」と、アダルト雑誌をにやにやしながら見る「普通の生徒」を対比させました。これがグランプリに輝き、彼に写真家になることを決意させました。
友人を撮影しプリントすると喜ばれ、撮った自分もうれしかった。「喜びや幸せの写真を撮ることができた前橋が自分の原点だった」。亡くなる2カ月ほど前、彼は同級生の一人にどうしても会いたいと連絡し、会い、そう話しました。そう遠くない死を意識していました。
その場で「前橋で写真展を開こう」と持ち掛けると、彼はとても喜びました。
本人も来場するつもりでした。
2021年11月、モモンガを撮影するために出掛けた網走で、彼は倒れました。
最期まで、小原玲は写真家でした。
わたしたちは信じています。約束した写真展を、きっと天国から見てくれるはずだと。
作品展は以下の内容で企画しており、開催経費をクラウドファンディングでまかないたいと思っています。
小原くんの写真に癒やされた方、励まされた方、みなさんのご協力をよろしくお願いいたします。
▼作品展概要▼
【プロフィール】
小原玲(おはら・れい)1961年2月、東京都生まれ。前橋高-茨城大人文学部卒。フライデーの専属カメラマンからフリーになり、報道写真家として活躍する。動物写真家に転じ、アザラシの赤ちゃんなどの写真集を多数出版。2021年11月、死去。享年60歳。
▼2000円
*作品展会期中に会場で直接受け取るか、郵送での受け取りを選択できます(会場では受付でお渡しします)。ご支援の際に希望の受け取り方法をコメント欄に入力してください。
*会場受け取りの場合は動物写真サンプル25種類の中からお好きな5枚を選ぶことができます。
▼5000円
*作品展会期中に会場で直接受け取るか、郵送での受け取りを選択できます(会場では受付でお渡しします)。ご支援の際に希望の受け取り方法をコメント欄に入力してください。
*写真集は事務局が取り寄せた市販動物写真集1冊のお届けとなります。
*ポストカードについて会場受け取りの場合は動物写真サンプル25種類の中からお好きな5枚を選ぶことができます。
▼10000円
*作品展会期中に会場で直接受け取るか、郵送での受け取りを選択できます(会場では受付でお渡しします)。ご支援の際に希望の受け取り方法をコメント欄に入力してください。
*作品展オリジナルクリアファイルに、A4プリント写真1枚を入れてプレゼント!
*写真集は事務局が取り寄せた市販動物写真集1冊のお届けとなります。
*図録は会期中完成予定のため、早くにご来場いただいた方には後日郵送となります。
▼20000円
*作品展会期中に会場で直接受け取るか、郵送での受け取りを選択できます(会場では受付でお渡しします)。ご支援の際に希望の受け取り方法をコメント欄に入力してください。
*パネルは作品展展示物のため、会期終了後の郵送となります。
*写真集は事務局が取り寄せた市販動物写真集1冊のお届けとなります。
*図録は会期中完成予定のため、早くにご来場いただいた方には後日郵送となります。
▼100000円◎限定4個◎
*作品展会期中に会場で直接受け取るか、郵送での受け取りを選択できます(会場では受付でお渡しします)。ご支援の際に希望の受け取り方法をコメント欄に入力してください。
*パネルは作品展展示物のため、会期終了後の郵送となります。
*写真集は事務局が取り寄せた市販動物写真集1冊のお届けとなります。
*図録は会期中完成予定のため、早くにご来場いただいた方には後日郵送となります。