高崎市にある「本町」という地区を、みなさんはどれだけご存じでしょうか?
JR高崎駅の北西に位置し、同駅から徒歩ですと20分ほどかかる、中心市街地からは少し離れたところにある街です。
この地は1598(慶長3)年に箕輪城主の井伊直政が高崎に居住を移した際に城の建設地に住んでいた人々をこの地に移住させて、高崎の「根本の町」として「本町」と名付けられました。中山道と三国街道の分岐地で、旅籠や店が軒を連ね物資や人の交流が盛んな地域でした。明治時代には高崎市街地と伊香保を結ぶ路面電車も走っていて、高崎のにぎわいを象徴する重要な街だったのです。
しかし近年は、駅周辺の商業地からやや距離があり交通の便も決して良いところではないため、人通りが多いとはいえません。現在も、わずかですが名残として蔵づくりや古い商家の建物を目にすることはできますが、それらの建物も次第に使われなくなってそのままの状態になっているのが現状です。
▲現在の本町の様子。かつては高崎の中心地としてにぎわいを生み出した
▲路面電車が走るかつての本町の様子
▲本町には今も歴史的な建物が残る
こうした中、私たちはかつての高崎の中心地だったこの地域に再びにぎわいを生み出そうと、「本町」と、隣接する「椿町」「九蔵町」の3つのエリアを舞台に、「みちびらき」と題したストリートマルシェの開催を目指しています。
マルシェでは既存店舗の参加はもちろん、本町界隈にある休眠建物やその軒先、駐車場などを活用して、店舗を持たないキッチンカーや個人事業者が飲食をはじめ農産物、古着の販売などを行う予定です。
事業者の方に本町・椿町・九蔵町エリアの建物などを実際に使っていただくことで、その魅力を感じていただき、今後の店舗展開を検討する際の参考にしていただければと思っています。
▲タイ料理とカオマンガイ専門のキッチンカー「PATONKO」もマルシェに出店予定。数々のキッチンカーが本町界隈に集結する
実際、本町・椿町・九蔵町エリアのこうした歴史を感じさせる建物を利用し、こだわりの店舗運営をしている例もあります。
そのうちの1つが、焼き菓子専門店のアンフルティエールさん(本町120)です。
かつての薬局をリノベーションした伊東屋珈琲高崎店の店内を抜け、中庭に出ると店舗があります。母屋は築100年以上の町屋の風情を感じさせる建物で、タイムスリップしたような気分が味わえるお店です。
▲アンフルティエールの店舗外観
もう1つのこだわりのお店が、コタマブルワリーさん(本町117-3)です。
かつて倉庫として利用されていた建物をリノベーションしたビールの醸造所です。
開放的な空間で作りたてのビールを楽しむことができます。
▲通りから店内の様子が見える大きな窓が特徴のコタマブルワリーさん
▲倉庫の特徴を生かした吹き抜けのある開放的な店内
このように少しずつ新規出店者は増えてきていますが、この流れをさらに推し進めていきたいと考えています。
歴史的な建物は、知恵と工夫による活用で、街の魅力となる可能性を秘めています。
建物は使わなければどんどん傷んでいきます。
できるだけ早く再生することが求められています。
私たちは、街の魅力について「歴史や建物」と「企画コンテンツ」が組み合わさることで新しい価値の発見やその場所で活動するプレイヤーの創造を促すと信じています。
今回のマルシェによって日本が抱える街の問題解決の一つの方法を示し、今後より多くの賛同者や類似企画が多発するような文化をつくっていきたいと思っています。
マルシェは9月16日(月・祝)に開催予定です。
準備資金は実行委員会メンバーの自己資金や出店料、企業協賛で工面しようと考えていますが、それでも資金不足は否めず、準備資金の一部をまかなうため50万円を目標にクラウドファンディングの「ハレブタイ」に挑戦することを決めました。
集まった支援金については、具体的にはポスター、フライヤー、ウェブページ、参加店用フラッグの制作の一部に充てる予定です。
社会における価値観の多様化が進んだことで、個々人の「小さなこだわり」がそのままビジネスに発展する機会は増えています。
キッチンカーや間借りビジネスといったスモールビジネス、スタートアップはその一例です。
そうした事業チャレンジが今以上に数多く生み出されていくためには、事業者との良質な関係構築ができる「エリア」の存在が必要です。
その一つに、本町・椿町エリアはなれる可能性を秘めています。
今回のマルシェをきっかけに、本町・椿町エリアが今以上に魅力ある場所になると信じています。
新たな街づくりへの挑戦に、みなさんのご支援をどうぞよろしくお願いいたします!