日本の最先端技術で、攻殻機動隊の世界をリアルに。
"攻殻機動隊 REALIZE PROJECT the AWARD"

攻殻ユニバーシティ 講義内容①「体性感覚メディア技術」

私たちがテレビゲームの中で殴られたとしても、痛みを感じることはありません。現代の電子メディアは目と耳の届く範囲を飛躍的に広げましたが、身体が経験する世界を伝えることができません。失われた「身体性」を獲得するためには、人間が身体的に感じる情報を合成して提示することが重要になります。私はこの課題に対して、手にバーチャルな力覚を与える装置、足の歩行感覚を合成する装置、広視野映像や揺動装置によって移動感覚をもたらす装置などの開発を行ってきました。

私が攻殻機動隊の世界で最も興味をもったのはタチコマです。実世界とバーチャル世界を自由に動き回り、両者をうまく融合するこの乗り物は、未来社会のあるべき姿を示唆しています。私はこのような機能を持つ装置のプロトタイプとして「メディアビークル」を開発しました。これは、カプセル状の全周ディスプレイと車輪付揺動装置を備え、自動車と擬似体験マシンを合体したものになっています。自動運転の技術が実用段階を迎えた今日、メディアビークルのような装置は2029年を待たずして実用化されるかもしれません。

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岩田洋夫
筑波大学システム情報系教授

1986年 東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)、同年筑波大学構造工学系助手。バーチャルリアリティ、特にハプティックインタフェース、ロコモーションインタフェース、没入ディスプレイの研究に従事。SIGGRAPHのEmerging Technologiesに1994年より14年間続けて入選。Prix Ars Electronica 1996と2001においてインタラクティブアート部門honorary mentions受賞。2001年 文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。2011年 文部科学大臣表彰 科学技術書 受賞。

2016/01/12 11:51