古くて新しい概念「スマートシティ」が近年、パワーアップすると同時により現実味を持ち出して来た。IoT (Internet of Things)、CPSS (Cyber-Physical-Social Systems)、都市OS (Operating Systems)、等々の技術およびフレームワークがその担い手である。これらに加えて、「データの自由化、オープン化」の波が、スマートシティを構成し支える各種「ソーシャルシステム」間の横連携を可能にし始めている。加えて、AI (Artificial Intelligence)の活用により、ソーシャルシステムの動作原理が従来の「モデル駆動」から「データ駆動」に進化しつつある。これにより、従来の「モデル駆動」では対象とし得なかった個々人までをも対象とした「個別最適化」が可能となる。本講義では、これらの背景を踏まえて、データのオープン化がもたらす影響を横糸に、そしてAIがもたらす効果を縦糸に据えて、今後のソーシャルシステムの進むべき方向性を議論する。
------------------
村上和彰
九州大学名誉教授、公益財団法人九州先端科学技術研究所副所長
1984年 京都大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了後、富士通株式会社に入社。本体事業部にて汎用大型計算機のアーキテクチャ開発に従事。1987年 九州大学に異動、2000年 教授。2004年~2008年 九州大学情報基盤研究開発センター長、2007年 九州大学情報統括本部を設立、初代本部長。2008年 公益財団法人九州先端科学技術研究所副所長。2013年 ビッグデータ&オープンデータ研究会 in 九州(BODIK)を設立、現在代表。