11月17日、新宿の映画館「新宿武蔵野館」で、WEAR SPACEを使用したセンサリーフレンドリー上映会を実施しました。
センサリーフレンドリー(Sensory Friendly)とは、自閉症スペクトラム障害やADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ発達障害当事者の方のうち、大きな音や明るい照明が苦手という方に向けた取り組みです。室内の照明を明るくする、音量を小さくするといった工夫を行なうことで音や明るさによる刺激を調節し、リラックスした状態でサービスを楽しむことができることを目指しています。
センサリーフレンドリーは欧米を中心に広がっていると言われており、日本でも自閉症スペクトラムの女の子を主人公にした「500ページの夢の束」という映画で、センサリーフレンドリー上映会の取り組みが行なわれました。
発達障害の人に「センサリーフレンドリー」 音や光控え映画を上映 – 産経ニュース
https://www.sankei.com/life/news/180914/lif1809140011-n1.html
センサリーフレンドリー上映会は一般的に会場全体を使って実施する必要がありますが、そのためには特定の作品や上映会のみを対象とし、参加者もセンサリーフレンドリー上映会を希望する人向けに限定する必要があり、好きな映画をセンサリーフレンドリーで見ることができるほどの自由度はありません。
今回の取り組みでは、発達障害による感覚の違いを伝えるボランティア団体であるTENTONTOさんと新宿武蔵野館のご協力をいただき、通常の映画上映回にWEAR SPACEを装着して視聴するという形でのセンサリーフレンドリー上映会を実施しました。WEAR SPACEを装着することで、ノイズキャンセリングによって映画館の大音量を低減するとともに、左右の席の人の動きを気にすることなく映画に集中できるのではないか、という試みです。
上映会ではTENTONTOメンバーである赤いニンジンさん、TEHOさんの2名にWEAR SPACEを装着し、映画「いろとりどりの親子」を観賞していただきました。
映画『いろとりどりの親子』公式サイト
http://longride.jp/irotoridori/
ご体験いただいた2名のうち、赤いニンジンさんからは「ノイズキャンセリングをオンにしても映画内の会話は聞くことができ、音楽もちょうどいい音量だった」「映画館ではスクリーン以外のものが気になることがないので、パーティションは必要ないと思っていたが、思っていたより効果があった」と前向きな評価をいただきました。
また、TEHOさんからは「隣の人が身動きする人で、普段であれば気になって映画の台詞が聞き取れないことがありストレスに感じてしまうこともあるが、今回は音も問題なく、セリフも音楽も耳に入った」「普段映画館にはよく行くので比較できるが、WEAR SPACEを装着しても鑑賞に問題はなかった」という感想をいただきました。
会場全体を使ったセンサリーフレンドリー上映会に比べると照明をコントロールできない、映画開始までの残り時間を係員が表示するといった施策が準備できないという点はあるものの、自分の好きな映画をよりリラックスして鑑賞するためのツールとして、WEAR SPACEの新たな可能性を感じ取ることができました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。