2017年に「Zoomオンライン革命」という著書を刊行して、コロナ情況の中で爆発したZoomのファシリテーターを多数育成し、Zoom文化の扉を開いた一人である田原真人による。時代を切り開く渾身の一冊。9年前からマレーシアに居を移し、オンライン生活、リモートワークを実践してきた体験の中でみつけた、新しい時代の可能性。この情況の中で書き下ろしている書籍の発行支援を、多くの人にお願いします。
1971年生まれ。早稲田大学理工学研究科で複雑系の科学を学び、粘菌を手がかりに生命の自己組織化の原理を探求。博士課程中退。2012年から「反転授業の研究」を主宰。自律分散型のオンライン組織トオラスを共同創業。第4回ODNJエクセレントアワード組織賞を受賞。『Zoomオンライン革命』など、著書10冊。マレーシア在住。
◇Zoomオンライン革命! 2017/10/30 ◇これだけ! 高校物理 波・音・光 波動編 2015/08/24 ◇単位が取れる電気回路ノート (KS単位が取れるシリーズ) 2012/04/13 ◇電磁気学がわかる (ファーストブック) 2011/07/07 ◇電験3種 理論ライブ講義―最短合格 2010/06/01 ◇物理をこれから学びたい人のための科学史/数学―なぜ物理法則は数式で書かれているのか 2010/03/01 ◇図解入門 微積で楽しく高校物理がわかる本 2006/04/11 など
1.1 機械論的世界観がもたらしたもの
1.2 複雑に絡み合った世界
1.3. 量子もつれと共時性
1.4. ニューサイエンスと対話
1.5. ピラミッドとホロン
2.1. 大切なことはすべて粘菌から学んだ
2.2. 予備校講師とインターネット
2.3. 主体的な学び支援とは何だろうか?
2.4. Zoomでコミュニケーション革命が起こる!
2.5. コミュニティと組織のオンライン自己組織化
3.1. 地球全体でロックダウン
3.2. 教育のオンライン化
3.3. 働き方のオンライン化
3.4. 市民活動のオンライン化
3.5. いきあたりばっちりオンライン読書会とYAMI大学
4.1. 学び3.0
4.2. 静的安定構造から動的平衡状態へ
4.3. デジタルファシリテーション構想
5.1. 南方熊楠フレームワーク
5.2. 存在論と比較元型論
5.3. 進化論再考
5.4. 参加型教育
5.5. 参加型メディア
5.6. 参加型貨幣
5.7. 参加型政治
5.8 参加型ビジネス
6.1. 監視社会でも暗黒社会でもない第3の道
6.2. 非暴力アナキズム
6.3. 高度内面成長と内面バブル
6.4. 参加型社会学会の設立宣言
2020年、コロナ・パンデミックによって世界の巨大な歯車が停止した。
世界中の都市がロックダウンとなり、ニュースでは、天気を報道するかのように、コロナの新規感染者数の推移が報道されている。
移動を制限された大人たちは在宅勤務となり、自宅のパソコンからZoomやTeamsといったWeb会議室につないで仕事をすることになった。子どもや学生も自宅でオンライン講座を受けることになった。
対面が中心だったコミュニケーションが、一気にオンラインへと移行した。そこに新しい可能性を見出した人もいれば、大きなストレスを感じる人もいた。
東日本大震災をきっかけに2011年にマレーシアに移住した私は、すべての仕事をオンラインに移行し、オンラインコミュニケーションの可能性に自分の可能性を重ね合わせて生きてきた。言ってみれば、コロナ・パンデミックが起こる9年前から、自主的ロックダウン状態を続けてきたようなものだ。
対面でのコミュニケーションに頼らずに、仲間を作り、コミュニティや組織を作り、新しいことを学び、新しい仕事を生み出していくことができるのかを、自分自身の人生を使って実験してきた。
主体的な学びを研究するオンラインコミュニティを主宰し、そこに集合知で蓄積した実践知は、人材育成のオンライン化の雛形になった。オンラインの自律分散型組織を作って、仲間とともに組織開発のオンライン化やオンラインワークショップ開発に取り組んできた。まだZoomが一般的に普及していない2015年から、Zoomを活用した大規模オンラインイベントも数えきれないほど実施してきた。オンラインファシリテーションのノウハウも蓄積し、オンライン化の時代を見据えたラーニングファシリテーターの育成も行ってきた。2017年に『Zoomオンライン革命』を出版し、来るべきオンライン化の波に備えて着々と準備を整えていた。
準備が整ったタイミングでコロナ・パンデミックが起こった。過去に例のない事態に不安を感じつつも、世界規模のオンライン化は、私たちの組織にとって強力な追い風になるはずだった。しかし、実際に起こったことは、私たちの組織内のコミュニケーションの崩壊だった。葛藤や対立に対するオンライン組織の脆弱さが露呈した。組織という船の帆は上がらないまま強風の追い風が後ろから前に通り過ぎていった。舵を取るものがいない船は、時代という潮の流れに流されて漂流した。2020年の夏、私は、組織の経営を離れて、個人として活動することになった。
思い描いていた計画が白紙になり、大きな余白が目の前に広がった。そんなとき、1970年代から「ロッキング・オン」「ポンプ」などの参加型雑誌を開発して、それ以後も「参加型社会一筋50年」の橘川幸夫さんと出会った。橘川さんが、かけてくれた言葉が胸を揺さぶった。
「個人の波と時代の波とが重なることを幸せというんだ。だから、田原君は幸せだ。リミッターを外して頑張っていきましょう。人類のために。」
橘川さんがnoteに書いている「深呼吸する言葉」の中の一節が、自分の状況とシンクロした。
「学生の時は友達を作れ。社会に出たら仲間を作れ。自分の方向が決まったら個人になれ。」
その日から、私が取り組んできた自己組織化の探究を、橘川さんが50年前から取り組んできた参加型社会と融合させる取り組みがスタートした。橘川さんの著書『参加型社会宣言』が、ちょうど出版になったので、そのオンライン読書会の実施をFacebookで呼びかけた。あっという間に250名が集まり、時代が動いていることを感じた。この読書会を1回のイベントでやるのではなく、参加者が誰でも好きなだけ主催することができる参加型方式で行った。1か月で40回のオンライン読書会が行われた。橘川さんのネットワークと、私が培ってきたネットワークとが重なり合って、新しいつながりがたくさん生まれた。
東日本大震災の後、私は、社会を変えたいと願うようになり、社会が自律分散型へ移行する活動の枠組みを教育、組織、政治と段階的に拡大してきた。それらを包括する名前が参加型社会である。オンライン読書会を通して、今まで取り組んできたことを「参加型社会」というフレームの中で位置づけることができ、完全に自分ごとになった。個人になった私が、リミッターを外して暴走する舞台が見えた。
2020年10月、橘川さんから「田原君、未来社会に向けての理論構築や実践報告の場が必要だ。一緒にに参加型社会の学会を立ち上げよう。」という提案が来た。しかも、その立ち上げの狼煙となる本を「田原君が1か月で執筆して、12月末に出版しよう。」とのこと。あまりの無茶ぶりに笑ってしまったが、おもいっきり暴走したかった私には、ぴったりの提案だった。その日から、毎朝4時起きで執筆して、この本ができた。
コロナ・パンデミックによって、今、世界は混沌としている。しかし、混沌は可能性の塊だ。世界中には、その可能性を感じ取って、インスピレーションを得て暴走している仲間がいるに違いない。私は、まだ会ったことのない仲間の存在を感じて、その仲間の一人であるあなたに向かってこの本を書いた。「あなたはあなたのテーマと方法で暴走し欲しい。そういう人たちが合流して、新しい参加型社会が生まれるのだと思う」
参加型社会の実現にむけて、合流しよう!
2020年11月 田原真人
(推薦いただける方は、1000文字以内の推薦文を、田原真人まで、お送りください。)
田原真人君は、若くして、複雑系をテーマにした細胞性粘菌の研究者として、生命や社会の根本的な在り方を追求していた。研究の道は一度挫折し、予備校教師として教育ビジネスの現実世界に生きることになる。その中で「教育」の本質を追求し「反転授業」という、学ぶ者が主体となる教育のあり方を追求し、その過程で、開発されたばかりの「Zoom」に触れ、先駆者として、多くの人たちに実践的なZoomの活用法を教えてきた。著書の「Zoomオンライン革命! 」の発行は、2017年であり、当時、私もその読者だった。
2020年、コロナ情況の中で、Zoomが一躍脚光を浴びたわけだが、日本各地で行われたZoomを使ったオンライン・セミナーや、オンライン・シンポジウムの現場を担ったのは、田原くんが育てたファシリテーターたちの活躍に負うことが多かったはずである。
Zoom運営のグランド・マスターとして、時代の寵児になってもおかしくはなかったのだが、彼は、そうした波に乗らず、もういちど、研究者であった時代に回帰し、Zoomが引き起こした、オンライン革命の本質の追求を始めた。
本書は、Zoom騒ぎの中で、オンライン・コミュニケーションの本質を明らかにしたものである。この思想的営為によって導かれたものは、これからの社会において、基本的な原理の書となるだろう。
ありうるべき社会を探る人たち、教育の新しい可能性を探る人たち、顧客との新しい関係性を求めるビジネスマンたちにとって、本格的なオンライン社会へ向けての羅針盤となるだろう。多くの人のご支援をお願いしたい。
最適解は一人一人の気づきの統合から導き出される。『参加型社会』はそのひとつの『装置』となりえる。『流れ(プロセス)』と『混沌(カオス)』の意味を知りながら行動し続けてきた田原真人氏た゛からこそ見えているエッジ(最先端)の彼方、『参加型社会』という僕らの夢へ誘う具体的な『装置』。本書でわかりやすく語られるその世界観と装置は、理系研究者の目線と教育者としての経験、そして社会活動家としての実績とが融合した田原氏の存在無くして見つけ伝えることがない世界だ。
参加型社会の出現。田原さんがこの書籍を書かれると聞いて、ただただ嬉しかったです。
なぜならば私の活動の全てが、この言葉で説明できるからです。
私は組織づくり、コミュニティづくり、街づくり、そして循環経済づくりを、色々なところで色々な方々と実践しています。
それらの活動に共通して言えることは「参加型である」ということです。
当事者意識は当事者にしか持てません。
会社も学校も街も自治体も国も、我々が目指すべき方向は「参加型」であると言えます。
奇しくもコロナによって社会全体が大きな変化をしやすい状況にあります。
私も田原さんと共に参加型社会を自ら実践し、それを通じて多くの方々へと啓蒙していきたいと思っています。
この書籍が一人でも多くの方々の手に届き、「参加者」に変わってくれる事を心から願っています。
2019年コロナウイルスの世界的拡大に伴って、世界はまったく新しいフェーズに突入した。各地で本格的なリモートワークが一気に進み、人々のつながり方や生活が一変する。その中で一気に注目され拡大使用されるようになったのがZoomである。田原さんはすでに2015年頃からZoomの利用に可能性を見出し、2017年にはZoomオンライン革命という著書を出し、Zoomによる距離と空間と境界を越えたつながりを作り出すファシリテーターとしての実践を続けてこられた。これまでの「対面」こそがリアル、という常識を超え、「オンライン」だからこそまったく異なる空間に生きる人々がいとも簡単に距離を超えて出会い、魂の触れ合う交流を実現する、そのような場を作り出し、そのことが来る社会にもたらす革命的変化の兆しをだれよりも早く感じ、発信してきた。いまそれが思いがけないきっかけで現実のものとなる中、より豊かに、より柔軟に、より多元的に人々がつながり、硬直化し、制約された社会関係や組織を乗り越える道を拓いている。オンラインだから人との距離が遠ざかるのではなく、オンラインだから結び付くシナプスのような新たなコミュニケーションネットワークの持つ意味を共に考え、共創する場を田原さんとともに作り出してゆきたいと思っています。
2013年、初めてお会いした田原さんは私の「新しい高校物理授業」の方法を、すぐにオンラインの物理授業に取り入れました。次はZoomでのアクションラーニング・セッションを実践させてくれました。それから6~7年、ようやく時代が追い付いてきました。会うたびに時代の「その次」を見せてくれる田原さんは私にとっての「未来人」。いずれ「出現する未来」が私の授業改善研究の大きなヒントです。きっと皆さんにも役立つ本です。
田原さんには、私が主宰しているオンライン教育事業の設計を手伝ってもらってます。
2020年は、必要に迫られ、オンラインの認知は一気に上がりましたが、多くの場合、やむを得ない一時的な避難の場として位置づけられ、結果として参加者にとっては「リアルに劣る不自由な空間」に映り、積極参加をする動機付けがうまく機能していません。
現在一緒に設計・運営しているオンラインの場には、全国から自らの意思で参加する学生の姿があります。彼らは自らを開放し、自由に対話し、この場をもっとよくするために意見を出します。このことはリアルを含むあらゆる領域における場の設計に役立ちます。その設計極意がこの本には書かれています。
あの「zoomオンライン革命」の著者、田原真人氏が学会を設立するらしい。その名も「参加型社会学会」。いち早くzoomの可能性に着目し、マレーシアでリモートワークを実践しつつ社会のオンライン化を予言していた田原氏が提唱する参加型社会とはいったいなんだ?
どうやらそれは、コロナ状況下で加速されて現実化しつつある新しい社会のカタチらしい。本書は田原氏が描く「すぐ先にある未来」を伝えている。いま、私たちは選択できる。元に戻るのか、あるいは保守化して監視社会へ行くのか、それとも楽しく学びあいシェアする「参加型社会」へ向かうのか。時代の転換点の今、ぜひ読んでおいてほしい、田原真人氏渾身の一冊です。
田原さんは・・
田んぼや原っぱの真ん中で、
立ち止まり、悩み、泣きながら、真っすぐにある人。
2次元のzoomの向こうに、命を感じさせる人。
誰一人もれのない、新しい世界を、共に創ろうとする人。
対話とそこから生まれる地平を熟知している人。
田原真人さんの「出現する参加型社会」を推薦します。
田原さんとは私がしている「さとのば大学」という地域でプロジェクト学習を進めるための市民大学でご一緒しています。そのなかでも田原さんには「複雑さを楽しめるようになる」というテーマの講義を担当していただいているのですが、これが本当に面白くて。たぶん僕たちは今の社会システムに閉塞感を感じつつも、何から始めていいかわからないということがほとんどという時に、田原さんの話は「別の進み方でつくれる未来があるかも」と思わせてくれます。なので今度出来上がる本はそんな言葉が散りばめられた本になると思います。