こんにちは、事務局です。
今日はタイ北部、チェンマイから「しあわせの経済」世界フォーラムへの参加を快諾してくれたカレン族、オシさんとスウェさんのご紹介です。前回からの続きになります。
<ジョニさんの末娘(左)と一緒に散歩する、スウェさんの子どもたち>
パガニョ(人間)としての、森と一体の暮らしも、近代化の波には抗えません。ローカリゼーションを学ぶうえで、彼らの「伝統回帰」へのターニングポイントとなったエピソードを、ナマケモノ学生スタッフ、アレックス君が引き続きレポートします。
<前半はこちらをお読みください。*>
そのパガニョ族の中にもグローバル化や資本主義、消費主義の流れが押し寄せてきています。ジョニさんの義理の息子で、現在ローカルリーダーとして活躍しているオシさんは、ノンタオ村の若者たちがどんどんと都会に出ようとしていると言います。また、家にインターネットやテレビ、スマートフォンが入り、子どもたちの興味が自然からテレビのキャラクターやSNSに変わり始めていることに危機感を募らせています。
<スウェさんのお宅でのローカルフード。どれもおいしい!>
大人たちは、今から40年ほど前、政府からの「近代的な農民になるように」という指導のもと、森を切り開き、新しく畑を作り、換金作物としてのトウモロコシなどを一面に栽培しはじめました。この単一栽培を中心とする農業は規模が大きいため、みな銀行から融資という名の「借金」をしなくてはなりません。
多くの農家は、借金を返すために農業を続けるようになってしまいました。中にはその借金を返せずに破産して土地を奪われ、都市のスラム街などに仕方なく住んでいる人もいます。
<レイジーマンファームを案内するジョニさん(右)>
パガニョ族の平和と共存の暮らしに大きな変化が起きてきた時に、レイジーマンと呼ばれるジョニさんが、新しい農業(何もしない農業)を始めました。
レイジーマンとは、パガニョ族に伝わる民話の登場人物です。「ジョックドゥ」と呼ばれているこのレイジーマン(ナマケモノ)は、日本でいう「ものぐさ太郎」のように、何もしない怠けた人。けれど、お話の最後には多くのものを得て、それを周りの人と分かち合う人となります。
ジョニさんは、一時期、周りの農家と同じように、単一栽培の近代農業をしていました、必死に借金を返すように働いてた時、ふと「このままでは幸せになれない」と気がつき、このレイジーマンの民話を自分の生活に取り込みました。1990年代はじめだそうです。
<ノンタオ村で見つけた野草のトケイソウ>
彼は、一切自分の畑に手をつけなくなりました。そして自然がそのまま勝手に育つようにしました。最初は多くの人から怠けものと呼ばれていましたが、次第に畑に自然が戻り、たくさんの果物や薬や木材に貴重な植物や木々が育つようになりました。現在レイジーマンガーデン、レイジーマンファームと呼ばれ、アグロフォレストリーとして一目置かれる農場になっています。
<ジョニさんの6番目の息子、スウェさん>
現在は、息子のスウェさんが、近代化で人が入らなくなりつつある森に在来のコーヒーを森林農法で栽培し始め、「レイジーマンコーヒー」として村の人々に配ったり、手作りの焙煎器で加工、パッケージ化までして、身の丈のフェアトレードビジネスを始めようとしています。
近代化という「発展モデル」のなかで、多くの矛盾に遭遇するなかで、伝統文化に学ぼうと舵を切りなおしたノンタオ村。オシさん、スウェさんといった若い世代が、新しい文化・時代を創ろうとしています。
11月の世界フォーラムにも、オシさんとスエさんがいらっしゃいます。
皆さんも11月是非お越しください!
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