こんにちは。発起人の本橋です。
9月の初旬、『色についての黒い本・(仮)』翻訳プロジェクトについて、一人でも多くの絵本好きの方に知ってほしい!という思いで「いたばしボローニャ子ども絵本館」を訪問しました。
旧板橋第三小学校の教室を利用した施設です。
いたばしボローニャ子ども絵本館は、一般の方が気軽に、手軽に、世界の絵本とふれあえる場所。公立の施設でもあり金銭的な支援はできないとのことでしたので、スタッフの笹岡さんにお話を聞かせていただきました。
■いたばしボローニャ子ども絵本館について教えてください。
毎年、北イタリアのボローニャ市で行われる「ボローニャ児童図書展」という児童図書専門の見本市があるのですが、ボローニャ市と板橋区の交流の中で、そのブックフェアに出展された本の一部を寄贈いただく形で、この絵本館が始まりました。
現在は、世界約100か国の絵本が出版国別に並んでいます。蔵書は2万6千冊ほど。一般の方への貸し出しは行っていないのですが、お越しいただければどなたでも、本を実際に手にとって読むことができます。
アフリカや中東の絵本など、日本ではなかなか簡単に買うことはできないと思うのですが、利用者の方や来館されるお子さんたちは、変わった形の文字を見たり、絵から感じられる生活や文化の違いを発見したり、ということでさまざまな絵本の存在を楽しんでいます。
イタリアとスペインの棚
コロンビアやベネズエラなど、ラテンアメリカの棚
■一般開架以外にはどんなことをされているのですか?
たとえば大学や高校の授業で使うなど、教育関係の団体に書籍をまとめてお貸し出しすることがあります。スタッフでは理解できない言語の書籍を貸し出しして、専門の方が使われて返却するときに本のあらすじをまとめたリストを付けてくださったこともあり、利用者の方にも支えられていると感じます。外国にルーツをもつお子さんの支援に使っていただくことも多いです。
また、現在はちょうど「いたばし国際絵本翻訳大賞」の参加申し込みを受け付けているところです。これは年に1回、英語部門とイタリア語部門で、課題図書の翻訳作品を募集するというコンクールで、たいてい毎年、締め切りよりも前に定員に達してしまいます。
■日本語の本も置いているのですか?
こちらのコーナーでは、世界の言語に訳された日本の絵本も紹介しています。『ぐりとぐら』は点字訳のもの(右下)もありますね。
写真の右下のものが点字絵本
■El libro negro de los coloresはありますか?
残念ながら、今は蔵書がないのです。ですが、2007年にボローニャ・ラガッツィ賞を受賞した作品ということで、その年に板橋区立美術館で開催されたボローニャ国際絵本原画展でも展示されていたので、そのときに見た絵本館のスタッフたちも、この本の美しさ、すばらしさをよく知っています。ですので、今回の翻訳プロジェクトもみんなで応援しています!
■ありがとうございます! 最後にこのクラウドファンディングに参加される方々にメッセージをお願いします。
絵本は、水や食べもの、着るものなどと比べて、生きていくためにどうしても必要かというとそうではないかもしれません。ですが、絵本があり、それを読むこと、分からなくても手にとることで、世界にこれだけ多くの国があるということを知る、そのための小さなとびらになりうるものだと思います。絵本があることで、世の中に、自分とはまったく違う暮らしがあること、まったく違う立場の人がいるということ、世界にこれだけたくさんの国、地域、言葉、生活があるということを知ることができます。まず、絵本があること、そして絵本を手にとることのできる場所があること。『黒い本』の日本語での出版は、世界の絵本をこの小さな絵本館に集めていることとも通じるものがある、と思っています。応援しています!
スタッフの皆さん、ありがとうございました!
板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館
〒173-0001 東京都板橋区本町24番1号
電話番号 03-3579-2665
メールアドレス ehon@city.itabashi.tokyo.jp