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エイズが死に至る病だった1990年代前半、
医療従事者や患者を描いた海外コミックス
『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』を翻訳出版したい!

心理学者(京都大学名誉教授)のやまだようこさんから応援コメントが届きました!

心理学者(京都大学名誉教授)のやまだようこさんは、ビジュアル・ナラティヴ研究を積極的に展開されています。グラフィック・メディスンの国際学会に発足時となる第1回大会から出席されており、日本でのグラフィック・メディスン研究の先駆者です。


 私は、心理学者でビジュアル・ナラティヴの研究をしています。ロンドンではじまったグラフィック・メディスンの国際学会には、第1回大会(2010年)から参加しています。
日本グラフィック・メディスン協会の代表理事である中垣先生とも、たびたび国際学会でお会いしてきました。日本での発展を心から願っています。
ブリスベンで開催された第10回(2019年)大会の報告を日本グラフィック・メディスン協会HPに掲載しています。

 『テイキング・ターンズ』は、グラフィック・メディスンの古典というべき本で、国際学会でもたびたび引用されます。古典といえるのは、まだ患者や医療当事者のもの語りが表現されることが少なかった当時に、エポック・メイキングになり、斬新だったというだけではありません。病いや立場や情況の違い、社会・文化・歴史的文脈を超えて多くの人々の「現在」にひびき、新しい見方を生み出しつづける力、文脈を超える生成力をもっているからです(いつでもどこでも誰にでも通用すると考えられてきた「普遍性」ということばをあえて使いません)。
 医療マンガには、情報や技術の提供を目的にするものも多く、それも大きな意味があります。しかし、最新情報でも、日々更新される現在では、どんどん古びて役立たなくなります。『テイキング・ターンズ』は、それらとは一線を画しており、絵のもつ素朴な美しさとともに、日本で翻訳され、多くの方々に届けたいと思う作品です。

 私自身は、30年以上にわたって、イメージ画を用いたビジュアル・ナラティヴの多文化研究をしてきました。『私をつつむ母なるもの――イメージ画にみる日本文化の心理』(1988年、有斐閣)、『この世とあの世のイメージ――描画のフォーク心理学』(2010年、新曜社)など。
 糖尿病患者さんの「病い」のイメージ画研究もしており、言語でのインタビューが概念化に向かうのに対し、言語化しにくいイメージや感性がそのまま表現して伝えられるビジュアル化のすばらしさを実感しています(『N:ナラティヴとケア9号「ビジュアル・ナラティヴ特集」』、遠見書房)

私は「ことばとは何か?」をことばにならない「ことばの前のことば」から研究してきましたが、現在は、ライフワークとなる著作集の刊行に力をそそいでいます。ちょうど「やまだようこ著作集」第5巻『ナラティヴ研究-語りの共同生成』(2021年、新曜社)が刊行されたところです。

 


やまだ ようこ

京都大学名誉教授、立命館大学OIC総合研究機構上席研究員、ものがたり心理学研究所長。私は「ことばとは何か?」「人は人生をいかに生きるか?」という大きな問いを、ナラティヴ(もの語り)アプローチから探究しています。専門は、ナラティヴ心理学、文化心理学、生涯発達心理学です。
やまだようこHP

 
 

2021/02/05 12:54