イスラエルでグラフィックノベルを制作しているBavuah(バヴア:ヘブライ語でリフレクションの意味)の井川アティアス翔と戸澤典子です。Bavuahは、2018年からイスラエルで人々へのインタビューをもとに物語をつくり、イスラエル人アーティストとともに作品を作ってきました。そんなわたしたちは、人々の日常にこそ、社会のあり方や抱える問題、同時にそんな社会で生きていこうとする人間の逞しさと儚さがあると考え、インタビューにこだわり活動をしています。昨年から日本に活動の場を広げ、今秋にはこれまでの活動を記した本の出版、年内にはイスラエル人アーティストの作品をクラウドファンディングでぜひ出版したいと企画しています。
ところで「Taking Turns」は、昨年末、原さんが主催して下さった海外マンガ忘年会で知りました。読んで感じたのは、この作品が伝えようとする深いメッセージです。それは2つ、1つはエイズに罹った患者を1人の人間として最後まで尊厳を持って接してきたユニット371というコミュニティの話であり、もう1つが人間にとって「死」と「死んでいくこと」が違うという点です。1990年代、エイズは特定の人々に広がる病気で、病気にかかること=死というイメージがありました。今のコロナと同様、感染症ゆえ、人々はとても怖がっていたと思います。さらに社会のマイノリティである同性愛者を中心にエイズが蔓延したことも、エイズに対する社会の偏見を増長してきました。このような偏見は、エイズ患者にとって病気で苦しいだけでなく社会から見放されたように感じることであったと思います。まさにこの時代、ユニット371は「Taking Turns(代わりばんこ、次は自分の番かも)」という意識のもと、1人の人間としてのエイズ患者とともにあったコミュニティでした。そして、この作品はその記録といえます。さらにユニット371は、「死んでいくこと」、すなわち「死」に至るまでの時間を人間の「生」の時間と考え、患者が望む「生」のあり方、時間の過ごし方を最後まで全うできるよう支援したコミュニティだったのです。
「Taking Turns」のメッセージは、人間として誰にでも、どこにでも通じるものです。今、日本ではコロナに罹った人が周りからいわれのない中傷を受けたり、医療関係者の方々に対する偏見があると耳にします。このような時だからこそ、多くの人々が「Taking Turns」を読むことができたら、少し風通しの良い社会が日本にできるかもしれません。ぜひ「Taking Turns」を刊行できるようご協力お願いいたします。
左が井川アティアス翔さん、右が戸澤典子さん。
真ん中は作品“Coming Home”のイラストレーターのノガ・オハヨンさん。
イスラエル南部のベル・シェバにて撮影
Bavuah(バヴア)
イスラエルで英語教師をしながら日本とイスラエルのビジネスサポートをする井川アティアス翔と東京大学大学院でイスラエルのアメリカ・ユダヤ人移民を研究する戸澤典子からなるマンガ制作ユニット。インタビューをもとにした創作活動を行う一方、イスラエル人アーティスの作品を日本に紹介する企画を準備中。
http://bavuah.com/
マンガを通じて日本とイスラエルをつなぐ活動をしているBavuah(バヴア)のお二人がステキな応援コメントを寄せてくれました。
イスラエルにはすばらしいマンガ家が何人かいるのですが、残念ながら日本ではまだほとんど知られていません。Bavuah(バヴア)の今後の活躍に期待しつつ、サウザンコミックスも微力ながらお二人のお手伝いができたらと考えています!
世界中のすばらしいマンガがもっと自由に読める未来を築くためにも、既にご支援くださっている皆さんの思いを裏切らないためにも、まずはこの『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』翻訳出版プロジェクトを、必ずや実現させたいと思います!
クラウドファンディングは残り20日ほど!
もう少しで折り返し地点というところまで来ました!
このクラウドファンディングのことを、ぜひご家族やご友人、身近なお知り合いにお話しいただけるとありがたいです。もちろんTwitterやFacebook、あるいは今流行りのClubhouse等の情報拡散も大歓迎です。
皆さんのお力をお貸しください!
サウザンコミックス編集部