2021年2月28日にクラウドファンディングを成立させていただいてから長らく準備を続けてきました『テイキング・ターンズ――HIV/エイズ371病棟の物語』ですが、皆様にお届けする準備がいよいよ整いました! 11月20日頃の発送を予定しています。
編集チームとして穴水菜水さん、デザイン担当の渡辺将志さんをご紹介いただき、とても素敵な装丁の日本版として送り出すことができますことを嬉しく思っています。
企画当初からお世話になっています、認定NPO法人ぷれいす東京代表の生島嗣さんに「解説」として、1990年代頃の日本での状況にまつわる貴重な証言をご寄稿いただきました。そして、東京都立大学の島田恵先生(看護学)に「監修」をお願いさせていただき、とても有益なご助言を賜りました。
本書『テイキング・ターンズ』の英語版は2021年10月に新しい叢書「グラフィック・ムンディ」から新装版が新たに刊行されたのですが、作者MK・サーウィックさんおよび編集者のケンドラ・ボアローさんから、その新装版「序文」を掲載させていただく許諾をいただくことができました。
新装版「序文」(日本版では「作者あとがき」)では、1990年代アメリカのエイズパニックの時代を描いた物語を、コロナ禍に読み直すことにより、ケアする者とケアされる者とのあり方をあらためて考える契機となったことについても触れられています。
私自身、訳文の推敲作業を通してくりかえし作品に向き合うことにより、『テイキング・ターンズ』の作品世界、作者MKさんの誠実なお人柄にあらためて魅了されました。しみじみと良い作品です。エピソードが積み重なって構成されている作品なので、皆さんそれぞれにとっての心に残る一場面がありますように。
「書籍一冊コース」以上でご支援いただいた方には、特別小冊子(『グラフィック・メディスン』0号)をあわせてお届けいたします。
英語圏グラフィック・メディスン協会が2021年2月に発表した「グラフィック・メディスン30作品リスト」に短い紹介文を付しました。未訳の作品ばかりですが、この領域での海外の動向をつかむことができるでしょう。
小冊子には、サウザンコミックス編集主幹の原正人さんによる特別寄稿(「HIV/エイズはどのようにマンガで描かれてきたか」)、書肆喫茶mori店主の森崎雅世さんによる新作海外医療マンガのレビュー、著者MKさんが「コミックナース」名義で発表していたマンガの再録、『元気になるシカ!』のマンガ家、藤河るりさんによる描きおろしマンガ、岡山大学にお勤めの内科医、小比賀美香子さんによるグラフィック・メディスンの取り組みについての紹介記事などを掲載しています。
このたびの『テイキング・ターンズ』翻訳刊行プロジェクトから生まれた成果の一つです。本書が実際に刊行されることで、さらに新しい出会いがありますことを願っています。
サウザンコミックスは早くもすでに第4弾のプロジェクト(発起人は黒木夏兒さん)が見事、成立しています。第4弾は『綺譚花物語』という台湾のマンガで、昭和11年の台湾を舞台にした「百合漫画」です。
11月15日までは「書籍一冊コース」以上の方にオリジナルクリアファイルの特典がつくそうなので、クラウドファンディング期間中にぜひ今一度チェックしてみてください。
https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/5216
世界のマンガ文化を翻訳刊行するサウザンコミックスは毎回多彩なラインナップとなっており、今後の展開も楽しみです。ご一緒に海外マンガをより一層盛り上げていきたいですね。
『テイキング・ターンズ』は2022年1月から一般販売もスタートします。ぜひ多くの方に手に取っていただけますように。皆さまからも周囲の方々にご紹介をいただけましたらとても嬉しいです。
2021年11月12日
発起人 中垣 恒太郎