皆さん、こんにちは。『ワイン知らず、マンガ知らず』監修の京藤好男です。いつも温かいご支援、そして多大な応援を頂き、心から感謝申し上げます。ちょうど去年のこの時期、7月に刊行となりました本書も、丸一年を経て、少しずつ、しかし確実にワインと自然農法を愛する人々に届いている手応えを感じております。
今回、東京都江東区のラジオ放送局「レインボーFM」で、本書を紹介する機会を頂きました。日曜の人気番組「ライフテラータイム」のパーソナリティーを務める柄沢恵子さんが、私が開催するワイン講座にご参加頂いた際に、自然農法とビオディナミ・ワインに大変興味を持って頂いたことで、本書について語る機会を作ってくださいました。
本書の特徴は、巻末のインタビュー編にもあるように、フランス本国のワイン学校の教科書として採用されているほど、自然農法とワイン造りの描写が精緻で、かつ誠実な点にあります。しかしながら、今回のラジオの方が口々に言われたのが、巻末に書いた私の「解説」によってより理解が深まったということでした。例えば、第6章の溶剤の散布の場面。同じにしか見えない散布の場面が2回もあるのだが、あれは何か? という疑問があるようですが、それは撒いている溶剤も、その意図も違うから。しかしそれは、このマンガだけを見ていては、わからないことなのかもしれません。でも巻末の「解説」を合わせて見ていただくと、全く違うことをやっているのが理解できるかと思います。
自然派のブドウ栽培の現場は、常に宇宙の流れに沿って行われます。それは。つい人間の常識的感覚で何事も判断しがちな日常に、一つの警鐘を鳴らしてくれていることのようにも思えます。ラジオ放送を通して色々と話しをさせてもらいながら、本書の重要性を益々感じさせられた、貴重な経験となりました。
昨年、本書の刊行を機に来日された作者のエティエンヌ・ダヴォドーさんがこんなことを言っていました。「本書はなぜか消えない」と。その後にこんな一言も加えたのを、今では重く受け止めています。「ワインを産んだのが、土だからかもね」と。言い換えれば、人間の根源も土にあり、ワインと源を同じくするというのです。本書も、実際に土と格闘したダヴォドーさんによって生み出されたもの。刊行から一年、改めて本書の重みを感じつつ、読者の皆様には、ワインを味わう楽しみが増えるよう願っています。
発起人 京藤好男