こんにちは、サウザンブックスPRIDE叢書です。ゲイをテーマにした胸キュンコミックを多数手掛ける、漫画家の野原くろさんから、応援コメントが届きました!
もしかすると、前作「ぼくを燃やす炎」は、ちょっと重いんじゃないかと敬遠してしまっている人がいるかもしれません。確かにテーマは、アウティング、いじめ、DV、自傷…と、これでもかと重いテーマが並んでいます。そして、今もどこかで同じようなことが起きている、それも現実なのだと思います。僕自身、映像で見ているわけでもないのに、文章を読みながら目を覆いそうになるシーンもありました。
ただ、そう思って読まないのは、とても勿体ないです。「ぼくを燃やす炎」にはキュンが溢れています。つらいシーンを帳消しにするくらいのキュンが散りばめられています。まだ読んでいない人のために多くは語りませんが、希望に満ちた、希望しか勝たん物語です。笑
そして、この「ぼくの血に流れる氷」は、オスカルが主人公だった「ぼくを燃やす炎」の続編というわけではなく、同じ時系列の出来事を今度はダリオを主人公に、彼の視点で描いた作品だということで、さらに興味が湧いています。
悪役ダリオ、彼がなぜダークサイドに堕ちたのか、ダリオに希望の光は見えるのか、キュンは?キュンはたくさんあるの!?と、とても楽しみで、できるだけ中身を知らずに済むように情報を遮断しながら出版を心待ちにしています。
前作「ぼくを燃やす炎」、そして「ぼくの血に流れる氷」の中で大きなテーマのひとつとなっているのがアウティングです。
アウティングのことを考えるとき、いつも自分の高校時代の出来事を思い出します。
僕自身、親友に告白した経験があります。面と向かって伝えることが出来ず、手紙を書いて渡しました。彼はゲイではなかったので、恋が叶うことはありませんでしたが、その後もそれまで通り変わらず接してくれました。なかなか会えませんが、今でも親しくしています。
一方で同じ頃、同学年の男子がクラスの男子に告白したと噂になっていました。クラスも違い、面識もなかったので詳しいことは分かりませんでしたが、彼を笑い者にしている生徒達を見たとき、とても複雑な気持ちになったことを覚えています。僕は彼だったかもしれない。そう思ったからです。
告白された男子も照れ隠しに軽いノリで周りの友達に話してしまったのかもしれません。でも、それから卒業するまでの間、告白した彼がどんな気持ちで登校していたかを考えたとき、知っているということの大切さを考えます。
あの時、LGBTQ +のことが現在のようにもっと知られていたら、アウティングの危険性を伝えてくれる人がいたら、そういった知識を得られる本や映画に出会っていたら…、告白された男子も心の中にそっとしまってくれたかもしれません。告白した彼も針のむしろのような学校生活ではなく、微笑みながら思い出すような、ほろ苦い失恋の思い出として大事にできたのではないでしょうか。
マイノリティとして生きていくためにダリオにならざるを得ない人たちが、おそらく今もたくさんいます。でもこの本を読んでいたら、踏みとどまることができるかもしれません。自分がダリオと同じだと知れば、きっと何かが変わるはず。
だからこそ、「ぼくを燃やす炎」「ぼくの血に流れる氷」のような本が、一冊でも多く出版され、ひとりでも多くの人に届くといいなと願っています。
きっと、知っている人が増えれば、知らない人が少数派になっていく。
僕自身も少しずつ知って、そして考え方を更新していくことを怠らないようにしなければと思っています。
楽しみながら、キュンに悶えながら、新しいこと気づいて、知っていけたら、こんな素敵なことはありません。
出版が実現しますよう、みなさんもぜひ応援してください☆
野原くろ
ニューヨーク、Pratt Institute中退、1995年12月雑誌“薔薇族(96年2月号)”で漫画家デビュー。その後、イラストレーターとして活躍しながら、古川書房から単行本『ミルク』全3巻を刊行、雑誌「Badi」の連載などでも作品を発表し続け、現在は単行本『下宿のお兄さん』が6巻まで刊行中、また新作『玄太はオレが好き』をWEBマガジン「newTOKYO」に連載中。韓国の6699pressが制作した『キミのセナカ』は韓国、台湾で出版後、日本ではサウザンブックス社から発行された。また、フランスでは電子書籍連載後に書籍化もされた。バンドcali≠gariのギタリスト桜井青と「くろとあお」でも活動中。
キミのセナカ
著:野原くろ
発行:サウザンブックス社
トビタテ!LGBTQ+ 6人のハイスクール・ストーリー
著:野原くろ/エスムラルダ
発行:サウザンブックス社