「レズビアン」というキーワードについて、何を思い出すのでしょうか。
二人のウェディング・ドレスを着る20代後半の女性が、西洋式の結婚式でニコニコしているイメージなのか。
二人の女性が綺麗なマンションの一室で子供を育てるイメージでしょうか。
髪の毛の短い学生服の女性でしょうか。キレッキレのタクシードを着るかっこいい女性でしょうか。
市場で買い物する時、すれ違う猫背のおばあちゃんは、レズビアンである可能性があるでしょうか。
農地で大きい笠をかぶり、肥料を撒く女性は、レズビアンである可能性があるでしょうか。
汗を流しながら食堂のキッチンでトンカツを揚げるおばちゃんは、どうでしょうか。
「LGBT」を語ると、常に都市部在住の、中年以下の、容姿端麗の人々のイメージが浮かび上がる。
しかし、その外に、「映えない」もっと周縁な存在が常に忘れられている。
ただ、我らはいつか、歳をとる。映えなくなる。それでも、美しく生きていけるのだろうか。
年上の方々は、これまで少しずつ不寛容な社会で、スペースを切り開いては広げてくれてきた。
これまでの彼女/彼らの道、現在の彼女/彼らの姿、長くないかもしれないが、彼女/彼らのこれからの夢に、
耳を貸して聞いてみよう。
私はかつて、台灣同志諮詢熱線のインターンとして参加していた。
今でもたまに通訳として手伝わせていただいている。
常にできるだけささやかな声を拾い、一人一人の問題に向き合っている、社会運動の仲間だ。
この方々ずっと故郷の台湾にいるから、私が日本に来て、
この方々が作り出した誰にも幸せになる福音を、伝えることを決めた。
一緒に、人生の先輩のレズビアンの方々の生声、そして台湾のLGBT運動の仲間の努力を、日本語で体感しませんか。
劉 靈均 Ariel "COOKIE" Ling-chun LIU
1985年台湾苗栗県生まれ。神戸大学博士(文学)。大阪公立大学人権問題研究センター特別研究員、相模女子大学、明治大学、関西大学非常勤講師。専門は台湾と日本のLGBT文学と社会運動の比較研究、日本の植民地の近代詩など。たまに詩を書くゲイ。共著に『台湾を知るための72章』(明石書店、2022)。日本の地方にアジアのLGBT運動と民主化運動の情報を届ける任意団体「関西同志聯盟」共同代表。現在愛知県在住。