こんにちは。発起人の橋本恭子です。今日は本プロジェクトをスタート当初から応援してくださっているヘイデンさんからのメッセージをお届けします。教育関係のお仕事をされているヘイデンさんは、性教育やジェンダー平等などについて鋭い見解をお持ちですが、同時にBLや百合にも大変詳しい方です。そんなヘイデンさんに本書への期待を語っていただきました。ぜひご覧ください。
過去を変えることはできないけれど、過去の物語から未来を変えることはできる
こんにちは。発起人の橋本さんに読書会でお会いして以来、懇意にしていただいている、ヘイデンです。
私が『おばあちゃんのガールフレンド』をぜひ読みたいと思った理由は、いろいろありますが、インターネットのない時代にパートナーとどうやって出会うのだろう、というちょっとおせっかいな好奇心があることは否めません。(日本では歴史的にミニコミ誌等での出会いがあったことは知っています)
過去に私が研究していた中で、”女性”同性愛者たちの中には出会うために「見た目」を非常に気にする人たちがいました。簡単に言うと、女性が”ボーイッシュ”な格好をすることで、「女性にモテたい」という欲求を表明することになり、女性と出会うことができるようになる、と。
インターネットが登場してからは、インターネット上で自分のセクシュアリティを明かすことができるようになり、「見た目」問題もゆるやかになっていったと言われています。
台湾はどうなのだろう、そんな疑問におばあちゃんたちは応えてくれるのか、楽しみです。
出会い問題は同性愛者にとって大切なトピックだとは思うのですが、せっかくなので別の話も。
私は30代のときに職場の組合活動に熱心に取り組んでいました。かつて私は、いろいろ課題はあるにせよ、”女性”の労働環境としては悪くない職場だと思っていて、今更組合活動をやる意味があるのか、と思ってました。しかし、いやいやながらやっていた組合活動のなかで出会った先輩に「労働市場の中で、子なしの単身女性(独身や離婚を含む)の生活は想定されにくい。”女性”の働きやすさを考える時には、50代、60代以降のそういった女性の働きやすさも考えていかなければならない」という話を聞き、とても印象に残ったことを覚えています。私はセクシュアリティをオープンにして働いているわけではありませんが、このままいけば、私も単身の50代、60代を迎えるのだ、とその時気づかされたのです。私たちがこの身体性ゆえに職場で勝ち取ってきた権利はたくさんあって、(育児休業や生理休暇など)もう十分ではないか、と思っていた節もあります。当時は不妊治療に伴う休暇の権利獲得に熱心な時期でした。でも介護休暇や更年期障害に関連する休暇などは十分ではなく、女性が働きやすい環境は全ての人に働きやすい環境だ、まだまだやることはたくさんある、と思って組合活動にのめりこんでいきました。
残念ながら諸事情で組合活動を継続することはできなかったのですが、組合活動では性的マイノリティについての啓発活動も行っていたので、職場を越えてたくさんの人と繋がれた良い経験になりました。
『おばあちゃんのガールフレンド』に登場する方は現在60代から70代が中心だと思います。おばあちゃんたちが何に悩み、苦しんだのか。今を生きる私たちは、おばあちゃんたちの物語に耳を傾け、未来に向けてできることがあるはず。現在世界的な家父長制への揺り戻しに注目が集まっています。これまで長い歴史の中で勝ち取ってきた女性の権利をなかったことにしないためにも、そして、未だ不十分な私たちの権利を獲得するためにも、世代を超えて、国境を越えて連帯したい。まずは知ること。いろんな人におばあちゃんの物語を読んでもらい、語り合うなかで私たちにできることを考えていきたいです。
ヘイデン
教育関係者。読書会に参加したり、筋トレしたり、V系メタルのライブによく行ったりします。
成立まで残り40%台になりました!引き続き応援宜しくお願い致します。