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グラフィックノベル史に燦然と輝く傑作
『Asterios Polyp(アステリオス・ポリプ)』を翻訳出版したい!

特別小冊子に、著者デイヴィッド・マッズケリのインタビューを掲載できることが決定しました!!

こんにちは。『アステリオス・ポリプ』翻訳出版プロジェクト発起人の矢倉喬士です。3ヶ月あったクラウドファンディング期間も、残すところあと2週間を切りました。人は何事も、期限ギリギリになるまで行動を先延ばしにするものです。今回のクラウドファンディングも、期限がいよいよ終わりに近づくにつれて支援者が怒涛のように増えていって、最後はお祭りのように盛り上がってドーンと企画を成立できればと思っています。

さて、ここにきて重要なお知らせがあります。

クラウドファンディングの支援プランにはいくつか種類がありますが、そのなかに「特別小冊子」つきのプランがあります。企画の運営側の人間が言うのもなんですが、この「特別小冊子」の内容が現時点で全くわからず、こんな得体の知れないものにお金を払ってもよいものかと気が引けます。しかし、ようやく諸々の調整が終わり、私たちも早く発表したいと思っていた「特別小冊子」の内容をついに発表できる日が来ました。

当初より、この「特別小冊子」はクラウドファンディングを成立させるための高額なオマケにするつもりは全くなく、この機会でなければ制作できない貴重な資料を制作したいと考えていました。一般販売をせず、ここだけでしか手に入らない資料を制作するにあたって、以下の3本の柱を用意しました。

まず初めに、アメリカで今年アイズナー賞の殿堂入りを果たし、よりいっそう伝説的なアーティストとなったデイヴィッド・マッズケリの生涯を辿るロング・インタビューを収録し、日本の漫画ファン、コミックファンの皆様にデイヴィッド・マッズケリというアーティストについて知っていただける最良の機会にしたいと思っています。日本の読者たちがマッズケリさんの作品に触れられるのは、邦訳が出ている『バットマン: イヤーワン/イヤーツー』(秋友克也・石川祐人訳、ヴィレッジブックス、2009年)、『デアデビル: ボーンアゲイン』(秋友克也訳、ヴィレッジブックス、2011年)、『シティ・オブ・グラス』(森田由美子訳、講談社、1995年)の3冊と、今回のプロジェクトが無事に成立すれば『アステリオス・ポリプ』がここに加わることになるでしょう。しかし、マッズケリさん本人の生い立ちやキャリアについては、手にとりやすい資料がないのが現状です。どのような幼少期を過ごし、どうやってコミックスと出会い、どの時期にどのようなアーティストに影響を受け、どのようなきっかけでコミックス業界に参入し、どうやって若くして栄光を掴みとり、なぜその栄光を手放したともとれるような行動をとり……といったマッズケリさん自身にまつわるお話を、彼自身の言葉で聞きたいと願う日本のファンの皆様は多くいらっしゃると思っています。今回の翻訳出版プロジェクトには、1980年代からマッズケリさんの活躍を見守ってきた筋金入りのファンの皆様もいれば、全く初めて存在を知ったというご新規の方々まで、様々な支援者に恵まれています。長年のファンの皆様にも、新しい読者の皆様にも楽しんでいただけるようなインタビューになると思います。これまでのクラウドファンディング期間中の皆様の反応やご意見も、一部マッズケリさんにお伝えし、インタビューの質問にも組み込みました。優れた作品を生み出してきた著者の言葉にご期待ください。

次に、日本の漫画家たち4人による『アステリオス・ポリプ』対談を収録します。コミックスを理解し、語るならば、その制作者にしかわからない要素が沢山あるはずです。そこで、漫画のことを訊くなら漫画のプロにお願いするべく、会議を重ねて調整を続けてきました。マッズケリさんの作品の魅力を制作者の観点から語っていただく漫画家対談のゲストとして、『CONFUSED!』(ストーリー:福富優樹)などで知られるサヌキナオヤさん、『いいとしを』などで知られるオカヤイヅミさん、『電話・睡眠・音楽』などで知られる川勝徳重さん、『メタモルフォーゼの縁側』などで知られる鶴谷香央理さんの4名をお迎えします。
 

『CONFUSED!』サヌキナオヤ


『いいとしを』オカヤイヅミ


『電話・睡眠・音楽』川勝徳重


『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央理
 

「特別小冊子」に日本の漫画家たちによる対談を収録する予定だとマッズケリさんに伝えたところ、早くその漫画家たちの名前を教えてほしいとお返事があり、マッズケリさんも日本の漫画家たちが自分の作品をどのように読むのか楽しみにしているようです。『アステリオス・ポリプ』という歴史的傑作のみならず、気鋭の漫画家たちによる対談にもご期待ください。(上記4名の作品を読みながら待っていただけますとさらに楽しみが増えるかと思われます。)

最後に、はせがわなおさんと私、翻訳者2名による訳者解説を収録します。『アステリオス・ポリプ』は、様々に異なる性質を持つ人間どうしは理解し合えるのかというテーマを持っており、キャラクターたちの外見や性格だけでなく、話し方にまでこだわって制作されています。訛りが強かったり、言い間違えをしたり、どもったり、変わった口癖を持っていたり、卑猥な掛け言葉を多用したり、実に様々な話し方をする人物が登場します。言語にも趣向を凝らした作品の魅力を損ねることなく体現した日本語版を完成させるべく取り組んでいるのですが、このように言語的工夫に満ちた作品の翻訳に触れる読者が抱くであろう疑問は、「原作ではどのように表現されていたのだろう?」というものだと思われます。私自身も、翻訳作品を読んでいて頻繁にこの疑問を感じます。たとえば、英語のジョークや言い間違えを翻訳するとして、英語表現をそのまま辞書的に日本語に置き換えて、注釈をつけて説明するような方法もあります。しかし、グラフィック・ノベルの翻訳においては、注釈をつけることでグラフィックデザインの鑑賞体験を損なう恐れがあるため、今回は文脈を維持したうえで日本語流のジョークや言い間違えを新たに開発することにしました。それによって、書籍の美しいデザインを邪魔することなく読み進められる他方で、英語表現との違いが出てくることも確かです。英語原作がもともと備えていたニュアンスや工夫が、日本語版で別のものに置き換わる部分が出てくるところを、「特別小冊子」にて丁寧に解説します。また、基本的に男性のセリフは矢倉が担当し、女性のセリフははせがわさんが担当して、それを持ち寄って協議したうえで翻訳しているのですが、これはいざやってみると面白い経験です。登場するキャラクターの一人称を全て違うものにする方針を立てて翻訳していて、当然ながら、どの人物にどの一人称を割り当てるのか意見が違ったり、語尾一つとってみてもこだわりがあったりします。このような翻訳過程も収録し、原作の魅力を伝えると同時に、日本語版だけの魅力もお伝えできればと思っています。

このように、「作者デイヴィッド・マッズケリさんのインタビュー」、「日本の漫画家たちによる対談」、「訳者による翻訳解説・英語原作との比較」の3つを主要コンテンツとした冊子を制作します。この冊子は一般販売せず、クラウドファンディングの「特別小冊子」つきプランでしか入手できません。『アステリオス・ポリプ』は、何度も読み返したくなるような魅力を備えた作品ですが、きっとこの「特別小冊子」もまた、何度も読み返したくなるような作品になると思っています。

既に書籍のみのコースでお申込みいただいた皆様も、後からコースをグレードアップすることができます。ぜひ、この機会にしか手に入らない「特別小冊子」つきのコースにてお申込みください。

この「特別小冊子」の内容についてのさらなる詳細は、12月4日(日)の20時から、Twitterのスペースにて、サウザンコミックス編集主幹の原正人さんと一緒にお話しする予定です。こちらのURLから聞いていただけますと幸いです。よろしくお願いします。


 

※コース変更(グレードアップ)は、クラウドファンディングページへログイン後、
「マイページ」からご対応いただけます。

 

特別小冊子コースへの変更を、ぜひご検討ください!

2022/12/02 11:53