学校教育の現場や企業の人事部などで、「家族」の扱い方が課題となるケースが増えています。例えば働き盛り世代の介護離職は企業経営にとって看過できない問題でしょう。子どもの不登校や家庭内暴力は、当事者だけでなく家族の課題です。その影響は大きく、例えば、優秀な社員が辞めてしまうことにより企業の成長を妨げる要因になることもあります。あるいは教員の働き甲斐を奪い、労働環境を悪化させる要因になることもあります。これらを未然に防ぐために必要なことは「家族を学ぶ」ことに他なりません。
果たして今、家族という小集団に何が起こっているのか。児童相談所で約30年間1,000を超える家族と面談し、現在も家族心理臨床家として家族相談を受け続けています。
私にとって、「家族」と「健康」は似ています。私たちは、健康な時に「健康であること」を意識しません。病気になって初めて自分の健康状態に敏感になります。家族も健康と同様に、特殊な事件ばかりに目を向けるのではなく、あらかじめ「いつまでも同じ形が続くわけではない」「良いこともあれば悪いことも起こる」と知ったうえで、最悪な状態に陥らないようにマネジメントする必要があると思います。
子育ての悩み、親世代の介護問題、夫婦間の課題、家族には色々なことが起こります。何も起こらない家族は、世の中に一組もありません。だから「何も起こらない家族」を目指すのではなく、何が起こっても「なんとか乗り越えることができる」力を身に付けるべきです。
私は今、グラフィックノベル、コミックス、バンドデシネ関連の表現目的の拡大に強い関心があります。 自分の漫画も含めて、多様な意図を持ったビジュアル表現を世の中に出していきたいと思っています。
団士郎(だん・しろう)
1947年京都生まれ。児童相談機関、障害者相談機関の心理職25年を経て、1998年に独立。仕事場D・A・Nを主宰。2001年から立命館大学 応用人間科学研究科 教授、2020年定年に伴い立命館大学客員教授に。同大学院と「東日本・家族応援プロジェクト」継続中(詳細は大学ホームページで)。全国で継続的に家族療法のワークショップを開催するほか、講演会も数多く開いている。社団法人・日本漫画家協会会員。漫画集団「ぼむ」同人。
twitter:https://twitter.com/danshirosan
達成率96%まできました。最後の一押し!お願いします!!