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一橋大学アウティング事件を風化させない
関係者たちの声をまとめた本を出版したい!

本書執筆者のひとり、プライドブリッジ副会長の神谷悠一さんのメッセージ

 自分が一橋大学のキャンパスに通っていた時には、とはいえカミングアウトできていた
し、比較的安全なキャンパスだ、という印象を持っていました。けれどそれは、一部の恵
まれた空間の中でのことであり、かつ、自分の「鈍感さ」が招いた幸せな誤解であること
が、一橋大学「アウティング事件」をきっかけに、まざまざと見えてきました。
 自分が通っていたキャンパスだからこそ、不幸なことは起こっていてほしくないとの想
い。それがだんだんと、そんなことが起こっているはずがない、加害に加担しているはず
がない、そんな論調に飛躍していく様も、この間、散見されました。幸せな誤解を抱いて
いた自分も含め、楽しかったあの頃の思い出に水を刺したくないとの想いや、自分に非が
あったかもしれないことを振り返ることは、誰しも困難なことです。
 けれども、自分や自分の過去を守るよりも、現在の次世代に同じ想いをさせず、安心安
全な環境を確保することに対して、多くの人に一歩を踏み出してもらいたい、それが卒業
生である私の責任であると、私は信じています。この書籍を通じて、歴史を記録しておく
ことは、他の多くの人が踏み出す、それぞれの一歩に役立つものになると信じて、このプ
ロジェクトをともに進めていければと思います。

神谷悠一
プライドブリッジ副会長。LGBT法連合会理事・事務局長。日本学術会議特任連携会員(法学委員会 社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会構成員)。

2024/06/19 10:23