スタイルストアというセレクトショップでバイヤーをしている柳沼周子です。スタイルストアは、幅広いジャンルの商品を取り扱う「ライフスタイルショップ」と呼ばれる業態の店です。その取扱いアイテムの中でも、常に根強い人気を誇るのが革小物。仕事柄、毎年発表される各ブランドからの新作を含め、数々の財布を目にしてきました。
そんな中、はっとする美しさを持った革に出会ったのは、今年の2月のこと。とある展示会場で見た「Decibell(デシベル)」というブランドの財布でした。財布のデザイン自体はプレーンなのですが、革が確固たる存在感を持っていて、惹きつけられるという感じ。話を聞くと、その革は「ピッグレザー」で、なめしや加工などの革作りから、財布の縫製に至るまで、すべて東京の墨田区で作られた財布でした。
「Decibell(デシベル)」を手掛けるのは、墨田区東向島に工房を構える革財布メーカー「サトウ商店」の3代目内田潤さん。
左 スタイルストア バイヤー柳沼周子/右 デシベル ディレクター内田潤さん
内田さんが自社ブランドの財布として、2年がかりで開発したファーストコレクションは、ピッグレザー(豚革)を主役にした財布たち。「TOKYO MADE(トーキョーメイド)」というシリーズ名が付けられた財布は、すべて東京産の豚革を使い、墨田区の工房で一つ一つ手作りされています。
あまり知られていませんが、東京は豚革の一大産地。牛革は、イタリアをはじめ海外からの輸入品も多々ありますが、ピッグスキンは日本で唯一自給率100%の革です。内田さんの工房がある墨田区には、昔から豚革の加工を得意とする工房が多く集まっていました。
グッチやエルメスといったトップメゾンの革製品には昔から豚革が使われていますが、それが日本から輸出されたものだということをご存知でしょうか?日本の豚革のクオリティの高さは、世界的に認められてきたにも関わらず、日本国内では革といえば牛革一辺倒。内田さん自身も、様々なブランドの牛革の財布を作り続けてきたわけですが、あるとき、先代が買い溜めてきた革見本の中の一枚に心を掴まれます。それは、昔いた腕利きの職人が作ったであろう、美しい豚革でした。
内田さんは「豚革をこんなに雰囲気のある革に仕立てることができるんだ・・・」と衝撃を受け、その革を捜して財布を作ろうと決意します。「脈々と受け継いできた地元の技術をいかして、素材から製品作りまで、すべて東京で完結する財布を作ろうと思いました」(Decibell ディレクター内田さん)。
ところが、その革は20年近く昔のもので今は作られておらず、やむなく内田さんは革を作るところから始めることになりました。これが予想以上に困難を極めます。「僕が作りたかったのは、豚革本来の表情をストレートに生かした革。でも豚革といえば裏面(スエード)を使うか、表面に加工をして厚化粧させたものが主流でした。『こういう革を作りたい』と革屋さんに行っても『豚でそんなのムリだよ』と即却下という感じ・・・でも諦めきれず、いろんな人に『かっこいい豚革の財布を作りたい』と言い続けていたんです」(内田さん)。
左 内田さん/右 長坂染革 長坂守康さん
その熱心さにほだされるように、少しずつ協力者が現れ始めます。革の染めや仕上げ加工を行う「長坂染革」の長坂社長と出会ったのも、内田さんの熱いトークを聞いていた革屋さんからの紹介でした。
長坂染革の長坂さんは、内田さんと同世代の3代目。もともと豚革も扱っており、内田さんの目指す革作りを「大変だとは思うけど、やってみましょうか」と前向きに引き受けてくれたそう。私が最初にデシベルを見たときにすごくいいなと思った艶っぽい美しさは、長坂さんの工房オリジナルのワックス仕上げによるものでした。この方法は革との相性の問題で、豚革に施すのは難易度の高い仕事とされています。
「リスクもある挑戦だから、一筋縄ではいかない仕事だなとは思いましたが、内田さんの『革から全部東京産の財布を作りたい』って想いも伝わってきたし、自分もそういうの嫌いじゃなかったんで(笑)。結果、2年かかりましたけど、お互い納得のいく素晴らしい革が出来上がったと思います」(長坂染革 長坂さん)。
内田さんには、こういう財布が作りたいという明確なビジョンがあり、その一つが「切れ目仕立て」であることでした。内田さんの工房自慢の技術であり、紳士財布によく使われる技法です。革を切りっぱなしにし、「コバ」と呼ばれる断面を磨いて仕上げます。
革自体の質が高くないと「切れ目」にはできませんし、仕上げにも大変手間がかかりますが、「通は財布のコバを見る」といわれるように、財布そのもののクオリティを象徴する部分でもあります。本プロジェクトで制作された4型の財布は、すべて切れ目仕立て。どのモデルも艶やかな豚革を主役にしたシンプルなデザイン。新品の状態でも、どことなくビンテージ感を漂わせた、風格のある財布たちが完成しました。
財布はおもてのデザインや装飾に凝っても、内装は既存のものを流用することも少なくありません。用途が明快なアイテムなので、それはある意味自然なことですが、Decibell(デシベル)の財布は中もオリジナルの仕様。数々の財布を作ってきた内田さんと職人の皆さんが、本当に快適な使い勝手を形にした、4種類の財布をご紹介します。
【1】ラウンドファスナーミニウォレット ¥10,200(消費税&送料込)
本体サイズ:W110mm×L70mm(重さ 約95g)
仕様:札入れ(四つ折りにした紙幣)×1、小銭入れ×1、マチつきカード入れ×1、フリーポケット×1
大きく開いて出し入れのしやすいミニ財布。4つ折りのお札、カード、小銭が入ります。カード入れはマチがあり、15枚程度収納可。女性にもおすすめのコンパクトなサイズ感です。
小さい財布ながら、小銭入れの部分が大きく開くのがポイント。自転車愛好家の内田さんが、グローブをはめたままでも小銭が取り出しやすいように、と一工夫したミニ財布です。
【2】ラウンドファスナーショートウォレット ¥17,800(消費税&送料込)
サイズ:W120mm×L95mm(重さ 約140g)
仕様:札入れ×1、小銭入れ×1、マチつきカード入れ×1、カードポケット×2
カードも小銭もたっぷり入る二つ折り財布。ディレクターの内田さんは男性にしては珍しいほどのカード持ち。ICカードが反応しやすいようポケット位置が工夫された仕様で、ポイントカードなど使用頻度の低いカードは、ひとまとめにして入れておけるマチありのポケットが付いています。
【3】二つ折りウォレット ¥19,900(消費税&送料込)
サイズ:W114mm×108mm(重さ 約170g)
仕様:札入れ×1、ギャルソンタイプ小銭入れ×1、カード入れ×6、マチつきカード入れ×1
小銭入れが大きく開くギャルソンタイプの財布。「使い勝手がいいって、小銭の出し入れがパッとできるか、がキモだと思った」という内田さん。この小銭入れはさながら革トレイのようで、硬貨の種類が一目瞭然になります。カード入れも、使用頻度に応じて収納できる箇所が複数あり、二つ折り財布にして驚くほどの大容量。切れ目仕立てが冴えるデザインでもあります。
【4】ラウンドファスナーロングウォレット ¥24,300(消費税&送料込)
サイズ:W194mm×L98mm(重さ 約240g)
仕様:札入れ×2、小銭入れ×1、カード入れ×4、マチつきカード入れ×2
個人的には一番おすすめの長財布。内田さん渾身の革の魅力が存分に発揮されたモデルで、持ち姿がものすごくかっこいい。大容量を可能にしたオリジナルの仕様にもご注目。カードの種類を判別しやすい、横入れのポケットが4箇所、小銭入れの片側には、7-8枚のカードをまとめて収納できるマチつきのポケットも。
冒頭でお伝えしたように、私はデシベルの財布を目にした最初の瞬間から「あ、この財布いい!」と感じてきました。主にレディースの商品を扱う自分にとって、メンズの財布でここまで印象に残るというのはとても珍しいことです。この革にこんなに魅了されるのはなぜだろう?と探るように話を聞く中で、見慣れた牛革ではなく豚革であること、それも革そのものから2年がかりで作ったこと、世界的に評価されている豚革を使い「すべて東京産」を実現するべく、各工程の職人達が敢えてハードルの高い仕事に挑戦したこと、などが分かってきました。
話を聞くほどに、やはり存在感を放つモノというのは、それを作る人たちのこだわりや妥協のない仕事の賜物だと実感しました。同時に、ぜひ皆さんにもこの財布は、背景のストーリーをセットにしてご紹介したいと思い、このプロジェクトを立ち上げました。「豚革」も「革製品」も東京の地場産業ですが、素材から縫製まで一貫してすべて東京メイドという財布は今までなかったのではないでしょうか。
今回はTSUKURITTE LABでの先行販売にあたり、2アイテム先着5名様は10%-15%OFFの早期特典もご用意しました。また、豚革についての質問や、こんなデザインがあったら欲しいなど、今後のブラッシュアップの参考にしますので、ぜひ、コメントだけでもお寄せください。
本プロジェクトをきっかけに、日本が世界に誇るピッグレザーの魅力を、一人でも多くの方へお伝えできたら嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。
■ラウンドファスナーミニウォレット
¥10,200(消費税&送料込)
・本体サイズ:W110mm×L70mm
・ベジタブルタンニンなめし豚革(東京製)
・日本製(東京都墨田区)
・カラー:キャメル/チョコ/ブラック
・5月末から順次お届け予定
■ラウンドファスナーショートウォレット
¥17,800(消費税&送料込)
・本体サイズ:W120mm×L95mm
・ベジタブルタンニンなめし豚革(東京製)
・日本製(東京都墨田区)
・カラー:キャメル/チョコ/ブラック
・5月末から順次お届け予定
■二つ折りウォレット
¥19,900(消費税&送料込)
・本体サイズ:W114mm×108mm
・ベジタブルタンニンなめし豚革(東京製)
・日本製(東京都墨田区)
・カラー:キャメル/チョコ/ブラック
・5月末から順次お届け予定
■ラウンドファスナーロングウォレット
¥24,300(消費税&送料込)
・本体サイズ:W194mm×L98mm
・ベジタブルタンニンなめし豚革(東京製)
・日本製(東京都墨田区)
・カラー:キャメル/チョコ/ブラック
・5月末から順次お届け予定
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