デザイナー自身の避難体験から生まれた、懐中電灯の直線的な光をランタンのやわらかな光にできる照明キットです。
組立てて懐中電灯を入れる事で光を拡散させることができます。年々、日本中全ての人にとって「ひとごと」ではなくなってきている自然災害。デザインのちからで非常時のあかりの不安と問題が解決できないかと生まれたのが TOMORI AID です。
自分がいざ避難する、というときに懐中電灯はありったけバッグに詰めましたが、ランタンはかさばり避難所に持って行くことを諦めました。避難所ではやはりランタンのあかりは必要だと感じたものの、自分を含め携帯してきたあかりは懐中電灯のみ、という人がほとんどでした。この避難経験を元に軽くてかさばらないランタンを作るにあたって、「持ってきた防災グッズで十分なのか」「ひとつしかないものが電池切れや故障で使えなくなるとどうしよう」、と不安な夜を過ごした事を思い出し、複数備えているであろう懐中電灯を生かせる商品である事が重要だと考えました。 サイズの合うLED懐中電灯ならなんでもランタンに変えられるので既に常備している懐中電灯も、これから買う懐中電灯も様々な状況で使用できます。
※入れられる市販のLED懐中電灯サイズはH160mmx30Φ以下になります。
人ひとりが持ち運べる荷物は案外少ないものです。実際の避難では荷物のトリアージという持っていけるものの選別が必要になります。人が持ち運べる重さとサイズは限られているので水や食料など命に関わる物資を優先する必要があり、重くかさばるランタン製品などは到底持っていけません。
TOMORI AIDは本体を段ボールでつくる事で軽さと曲げの強さを実現しながら、折り畳めばA4サイズに納まる設計によって逃げる時にバッグに入れる必需品の邪魔にならない事を可能にしました。もちろん家でしまっておくにも場所をとりません。
懐中電灯は必ず必要な防災グッズです。TOMORI AIDはUSB充電式LED懐中電灯がセットになっています。まずTOMORI AIDがあれば1セットで懐中電灯とランタン両方として使用できる実用性と備えやすさを目指しました。意匠登録をした固定方法とシンプルな組み立てにより、誰でも簡単にランタンにする事ができます。
防災グッズは一般的に飾るというより引き出しや見えない所にしまっておく事が多いものです。せっかく備えていても停電してからでは探せない、電池がなくて使えないといった事が起こり得ます。いつも飾っておきたくなるデザインで、いざという時のあかりとしてすぐに使用できます。 付属の懐中電灯はUSB充電式なので電池の減りや交換を気にせず使用できます。
停電時の生活する明かりには全体を照らす光が必要です。
あかりのないリビングで光を比較してみました。
1.懐中電灯を上向きにした光
2.懐中電灯の上にペットボトルを乗せた光
3.TOMORI AIDの光
3つの光の拡散を比べてみると、TOMORI AIDが壁やテーブルなど一番広く空間を照らせる事がわかります。
本体を広げて接続パーツと反射板を差し込むとしっかりとした骨組みになります。そこに懐中電灯をツメで支えるように入れてカバーをかぶせれば完成です。意匠権を取得したツメによるシンプルな固定にする事で、サイズの合う全てのLED懐中電灯を簡単に入れて使用できる設計です。
付属の懐中電灯はUSBで充電しながら使用できるので日常使いの間接照明として電池を気にすることなく使用出来ます。USBケーブル(20cm)も付属します。
※付属の懐中電灯は白色LEDライトです。
避難所では子供達はじっとしてられず走り回ったりしています。そういった状況でもこのTOMORI AIDはペンさえあれば楽しい空間に変えることができます。お絵描きしたカバーに照明を灯せば世界でひとつのランタンの完成です。 子供たちもストレスのかかる状況下でも自分で作ったあかりがあれば少しは心がなごむと思いデザインしました。
TOMORI AIDはいざという時もいつもと同じあかりを灯す事で少しでも不安な夜を減らす手助けができればという思いによって生まれた製品です。
なぜTOMORI AIDを考えたか、というと私自身が2019年台風19号による多摩川決壊危機の際に避難所への避難経験をしたからです。豪雨の中での避難は想像以上に大変で、準備していた防災バッグから最低限必要なものを選んでバッグに詰めて避難所へ行きました。避難所では多くの人々が間隔を隔てる事無く密集している状態でした。そして夜、消灯時間となり半分の体育館の照明を落としたのですが、トイレはホールから出た廊下にあるので明かりを付けて下を気にしながら歩かなければなりません。懐中電灯を照らすのですが光が直線的で強く、周りの人達にもまぶしく感じさせ使用に気を使ってしまいます。 さらに同年の台風15号の千葉での停電被害時にはニュース番組やSNSで水を入れたペットボトルを上にのせる方法が拡散していました。この様に懐中電灯は持っていたけどランタンの様な間接的なあかりにしたい、という切実な要望が実際の現場にはあるのだと認識し、改善する為に開発に着手しました。
多くの人がランタンの様なあかりが家族分必要だと答えました。 この事からも日常と避難場所両方で使用できるあかりの防災グッズが必要とされている事がわかります。
TOMORI AIDを考え、試作品を東京都の段ボール加工会社坪川製箱所さんに協力してもらい2019年東京ビジネスデザインアワードのコンペティションに応募し、優秀賞を受賞しました。 その後自身でのブラッシュアップと販売を目指し、名古屋の製造業者さんに協力して頂き生産可能な段階まで進めてきました。
サイズ
[ 折り畳み時 ]高さ 約260mm 横180mm
[ 組み立て時 ]高さ 約260mm 直径約170Φ
[ 重さ ]本体48g 懐中電灯43g
[ 素材 ] 本体・接続パーツ/段ボール カバー・反射板/トレーシングペーパー
[ 付属品 ] USB充電式懐中電灯、USBケーブル(20cm)、取扱説明書
製造元
[ 本体、カバー ] 菱源株式会社
[ 懐中電灯、USBケーブル ] 中国製
※TOMORI AIDはLED懐中電灯のみの使用に限ります。
[付属懐中電灯仕様]
素材:アルミニウム合金
ズームモード:ヘッド部による伸縮でズーム
バッテリー:1200mA リチウムバッテリー
充電:マイクロUSB
充電時間:1時間
連続使用:3時間~6時間
モード:強、弱、点滅、救難信号(長押)
明るさ(約):200~250ルーメン
サイズ:11.5 x 3 x 2 cm
YUJI YANAGISAWA DESIGN INC.
代表 柳沢祐治
1983年生まれ。内装デザイン会社退職後デンマークのデザイン学校へ留学。ロンドン、ベルリンと渡りフリーランスデザイナーとして現地と日本で活動。2016年東京都ビジネスデザインアワードテーマ賞授賞作品を製品化するため帰国。 2019年台風19号による河川決壊危機に避難所へ避難した際に想像と現実の違いを身を持って経験し、デザインによる災害時の問題解決ができないかと思いTOMORI AIDを開発。 TOMORI AIDを提案し2019年度東京都ビジネスデザインアワード優秀賞を受賞し販売製造するためYUJI YANAGISAWA DESIGN INC.を設立。
受賞歴
2016年度東京都ビジネスデザインアワード テーマ賞受賞
2019年つなぐデザインしずおか 選定デザイナー
2019年度東京都ビジネスデザインアワード優秀賞受賞
2022年A'Design Award and Compitition Lighting product Bronze winner
最後に
[TOMORI AID]を手にとった皆様に喜びと災害の不安を少しでも減らす手助けが出来る様心を込めて対応していきますので、応援宜しくお願い致します。