皆さん、こんにちは! サウザンコミックス編集主幹の原正人です。はじめましての方もいらっしゃるのではないかと思います。どうぞよろしくお願いします。
「サウザンコミックス」は世界のマンガをクラウドファンディングを通じて翻訳出版するサウザンブックス社のレーベルで、このクラウドファンディングで、はや第5弾となります。
手短にご紹介すると、第1弾はダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』(原正人訳)というバンド・デシネ(フランス語圏のマンガ)で、2020年10月に一般発売され、おかげさまで重版もかかりました。第2弾はMK・サーウィック『テイキング・ターンズ HIV/エイズケア371病棟の物語』(中垣恒太郎、濱田真紀訳)というアメリカのコミックスで、今年2022年1月に一般発売されています。第3弾は再びバンド・デシネで、エティエンヌ・ダヴォドー『ワイン知らず、マンガ知らず』(京藤好男監修、大西愛子訳)。今年2022年5月に完成したばかりで、支援してくださった皆さんのお手元には無事届いていることかと思います。一般発売は今月7月下旬(もうすぐですね)を予定しています。第4弾はバンド・デシネやコミックスとはひと味違う台湾のマンガで、原作:楊双子、作画:星期一回収日『綺譚花物語』。現在、発起人の黒木夏兒さんが鋭意翻訳中で、もう少ししたら皆さんのお手元にお届けできるかと思います。
サウザンコミックスの2022年7月時点の既刊
そして、今回、サウザンコミックスが第5弾として挑戦するのは、パヴェル・チェフ『ペピーク・ストジェハの大冒険』、なんとチェコ・コミックです! 第5弾まできて、いよいよ「世界のマンガを翻訳出版するレーベル」感が出てきました。
皆さん、チェコ・コミックって読んだことがおありでしょうか? 読んだことあるよという方はほとんどいらっしゃらないんじゃないかと思います。というのも、チェコ・コミックの日本語訳は今のところほとんど(まったく?)存在していないからです。
日本語に翻訳されていないからといって、チェコに豊かなマンガ文化がないかというと、そんなことはまったくありません。ご存じの方もいることと思いますが、2017年から2018年にかけて米沢嘉博記念図書館、北九州市漫画ミュージアム、チェコセンター東京で「チェコ・コミックの100年展」という展示が行われ、その長く複雑な歴史と現代における多様な展開の一端が紹介されました。米沢嘉博記念図書館のこちらのページで、展示のオンラインアーカイブをご覧いただくことができるので(下にスクロールしていくと、リンクが張られています)、興味がある方はぜひご覧になってください。
かくいう僕もこの展示でチェコ・コミックのことを初めて知り、俄然興味を抱きました。日本語にはなっていないチェコ・コミックですが、フランス語にはいくつか翻訳されていて、ルチエ・ロモヴァーの『DIVOŠI(「野生児たち」)という作品をフランス語訳で読んだりもしています。とはいえ、日本人の僕がチェコ・コミックをフランス語で読まなきゃいけないというのも実にもどかしい話です。できることなら日本語で読めるようになってほしい!
いつかチェコ・コミックが日本語に翻訳される日が来ないかなあと思っていたのですが、そうこうしているうちに、「チェコ・コミックの100年展」のコーディネーターを務めたジャン=ガスパール・パーレニーチェクさんと髙松美織さんご夫妻が発起人に名乗りをあげてくれ、こうしてわれらがサウザンコミックスで、おふたりの一押しチェコ・コミックであるパヴェル・チェフ『ペピーク・ストジェハの大冒険』を翻訳出版するためのクラウドファンディングを行うことになりました。
おふたりの意気込みについては、ぜひプロジェクトのトップページをご覧ください。また、おふたりはこのクラウドファンディングに合わせて「JGP ARTチャンネル」というYouTubeチャンネルを開設し、さまざまな動画をアップしてくれています。よかったらそちらもぜひご登録ください。
6月14日(火)にスタートした『ペピーク・ストジェハの大冒険』翻訳出版プロジェクトですが、もうそろそろ1カ月経とうという現時点で、達成率31%、124人以上の方からご支援いただいています。ご支援くださった皆さん、どうもありがとうございます!
とはいえ、まだまだ折り返し地点にも到達していません。サウザンコミックスのクラウドファンディングはAll-or-Nothing方式で、目標金額に到達しないと、この本の日本語訳を出版することができません。身の回りにチェコ・コミックに興味がありそうな方、この本のテーマに共感してくれそうな方がいたら、こんなプロジェクトがあるよと、ぜひオススメいただけるとありがたいです。
この『ペピーク・ストジェハの大冒険』翻訳出版プロジェクトをきっかけに、ぜひチェコ・コミックが定期的に翻訳されるようになってほしい。そのためにも皆さんのお力を借りて、ぜひこのプロジェクトを実現させたいと思います。引き続きどうぞ応援よろしくお願いします!
『ペピーク・ストジェハの大冒険』のチェコ語版を手に。バンド・デシネを思わせる大判サイズ
原正人
サウザンコミックス編集主幹。フランス語翻訳者。サウザンコミックス第1弾ダヴィッド・プリュドム『レベティコ―雑草の歌』などバンド・デシネの翻訳多数。最新の翻訳はデジタル月刊誌『ユーロマンガ』に掲載されたシリル・ペドロサ『ポルトガル』、マニュ・ラルスネ『ありきたりな戦い』、『月刊少年シリウス』(講談社)に連載中のSHONEN『超級装備で無双して、異世界王に俺はなる!―OUTLAW PLAYERS』など。
※7月14日(木)19時からチェコセンター東京で「『ペピーク・ストジェハの大冒険』原書を囲む会」(参加無料)を行います。参加ご希望の方は、こちらのページからご予約ください。