「海外マンガをまだ読んだことがない」「海外マンガって、日本のマンガと違ってなんだかとっつきにくそう」そんな皆さんにこそお勧めしたいのが、何を隠そう、今回クラファンに挑戦中のエメー・デ・ヨング著『ハチクマの帰還』です。
オランダにおいて、エメー・デ・ヨングの作品は、フランス・ベルギーの伝統的なバンド・デシネに日本のMangaをうまく融合させた独自のスタイルだと評されています。10代の頃に日本のマンガとアニメにどっぷりハマって、影響を受けたと彼女自身が語っています(どんな作品に影響を受けたのかいつかインタビューしてみたい!)。日本のマンガとの違いを新鮮に楽しみつつ、親しみも感じていただけるのではないかと思います。
すでに海外マンガファンというみなさんはもちろん、これから海外マンガを読んでみたいという方にも、その魅力が伝わるよう、『ハチクマの帰還』の一部をご紹介します。
今回は、シモンが出会うことになる謎の少女レジーナとのやりとりから、2つのシーンを取り上げてお読みいただきます。
※あくまで仮の翻訳なので、将来日本語版が成立した場合、最終的な仕上がりは若干違った形になっている可能性があります。
************************************************************
父親から受け継いだ小さな書店を営む主人公シモンは、本が売れない時代の流れに逆らえず、ほどなく店をたたむ準備を進めていました。妻からは、今後の生活のことを考えて店を好条件で買い取ってくれるチェーン店に売却しようと提案されていますが、かたくなな姿勢を崩そうとはしません。2人の関係はぎくしゃくしていました。
ある日、シモンは車で倉庫に向かう途中、女性の自殺現場に遭遇。その日を境に悪夢を見るようになり、蓋をしていた過去のトラウマに向き合うことを余儀なくされます。
苦境のさなか、シモンにひとりの謎めいた少女、レジーナとの出会いが訪れます。2人は森の中の書庫に向かっていました。シモンは車中で、「本屋さんをやるってどんな感じなの?」とレジーナから問いかけられます。
森の中の書庫に到着すると、2人はお互いのことを話し始めます。シモンはここまで、本来通るはずの街中のルートではなく、森の中をかなり遠回りしてやってきました。女性の自殺に遭遇した踏切を避けるためです。そのことについて問うレジーナに対し、シモンは「森を抜けて行く道の方がずっときれいだろう?自然の中にいると落ち着くんだ」と誤魔化します。
シリアスなトーンで進んでいく作品の中で、主人公シモンが本来持ち合わせているユーモアを読者に感じさせる、私のお気に入りのシーンです。
レジーナとの対話によって、頑なに閉ざしてしまったシモンの心は少しずつ解きほぐされていきます。果たして、度重なる困難によってトラウマを抱えたシモンの人生はどんな答えを見つけるのでしょうか……。ぜひ、クラファンを成立させて、最後までお読みいただきたいです!
(川野夏実)
クラファン開始から1ヶ月過ぎ、参加者人数が100名を超え、まもなく110名です。
たくさんの方にご参加いただき感謝申し上げます! 周囲の方にもご紹介いただけますと幸いです。