DC・マーベルのスーパーヒーローコミックスを中心に数多くの翻訳書があり、小学館集英社プロダクションのnoteでは「教えて!キャプテン」の解説コラムも連載されているキャプテンYさんこと吉川悠さんが応援メッセージを寄せてくださいました!
自分は日本語と英語しか読めないので、フランスの漫画を読む際は英訳版に頼ることが多くなってます(近年、とても出版点数が増えています)。『男の皮』はコミック流通専門店向けの受注カタログの中で、数ページ使って宣伝されており、かなり大きな扱いでした。シェイクスピアが考えたものでもおかしくないようなあらすじ、中世の写本を匂わせるアート、その両方に惹かれて予約発注したのですが、届いてみたら面白いのなんの…。ルネッサンス期のイタリアに、魔法としか思えない道具が自然と入ってくるあたり、マジック・リアリズム文学として読んでも面白いと思います。
もう一つ英語版で興味深かったのは、英語版では教育向けの市場を想定したローカライズがされていたことです。判型がかなり小さくなった上に、巻末に「この本を読んでどんなことを思ったか、みんなで考えてみよう」というディスカッションのためのシートが付録として追加されていました。確かに、読んだあとにさまざまな会話が自然と発生する漫画だと思います。日本語版はフランス版に近い仕様になるそうですが、皆さんにも読んでいただいて発生する交流を楽しんでいただけたらと思います。ぜひ応援のほどよろしくお願いします。
吉川 悠(よしかわ ゆう)
コミックス・ゲーム関連翻訳者。DC・マーベルのコミックを中心に、英語圏のコミックスの邦訳を手がけている。
★吉川悠さんの最新の翻訳コミックは『ジョーカー・プレゼンツ:パズルボックス』(作:マシュー・ローゼンバーグ、画:ヘスス・メリノ他、小学館集英社プロダクション)! 詳しくはこちら 。